故事

徳を使い果たした官吏

古代中国では、徳は前世に積むものだと言われていました。徳が多ければ今世は財産や地位に恵まれ、少なければ貧困と災難に苦しみます。徳の多少に狂いはなく、使いすぎれば、あの世が取り立てにやってきます。悪い官吏を見かねたあの世の霊たちが、彼の徳を取り上げてしまうお話です。

昔、現在の河北省のあたりに、王(ワン)という官吏がいました。王は法律を悪用してお金を騙し取り、巧みに証拠を消して、着々と私腹を肥やしていました。

ある日、道観で修行中の童子の耳に、あの世の霊たちの会話が聞こえてきました。

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