焦点:中国の終わりなき反腐敗闘争、習主席が選んだ新責任者

[北京 25日 ロイター] – 中国の習近平国家主席は25日、新たに発足した共産党最高指導部の反腐敗運動の責任者に、側近で比較的目立たない趙楽際氏を据えた。趙氏は、これまで反腐敗運動に辣腕を振るってきた王岐山氏の退任に伴い、党中央規律検査委員会(CCDI)書記となった。

習氏は24日に閉幕した共産党大会で、これまでに摘発した当局者は130万人を超えたと運動の成果を強調するとともに、序列・身分の高下に関わらず断固処分するという意味の「トラもハエもたたく」方針を続けていく考えを示した。

ただ趙氏の起用によって中国の反腐敗に向けた取り組みは、個別的な汚職摘発からこの問題に広く対応できるような政治機構の整備という次の段階にさらに進んでいく、と専門家は話している。

米シンクタンクのポールソン・インスティテュートのアソシエートディレクター、ダミアン・マー氏は「趙氏の役割は、トラとハエをたたく面が後退して、反腐敗システムを効率的に組織化し、CCDIの機能を全行政レベルに行き渡らせるという面が大きくなっているようだ。これは難しい仕事だが、趙氏は前中央組織部長として全党員の記録を持っている」と指摘した。

習氏は新しい最高指導部(政治局常務委員)メンバーの発表後記者団に、共産党の規約にも盛り込まれた反腐敗闘争は「終わりなき旅」であり、党組織にはいかなるウイルスも存在させてはならないと言明した。

その反腐敗を陣頭指揮してきたのが王岐山氏で、それまで存在感が薄かったCCDIを、党にとって極めて重要で恐ろしい監視機関に改造し、実際に成果を上げたとの評価が大勢だ。

一方で着実に地位を上げて今回の最高指導部の最年少メンバーとなった趙氏は、貧しい農村部での任務経験が長かったこともあり、あまり名前を知られていない。もっともブルッキングズ研究所の中国政治専門家チェン・リー氏によると、習氏と趙氏は「陝西閥」でつながっている。陝西省は習氏の戸籍があり、趙氏もここで下積み時代の大半を過ごした。

<組織再編>

習氏は、いくつかの政府機関を統合して強大な権限を持つ「国家監察委員会」を立ち上げ、CCDIと庁舎や人員を共有する形に反腐敗組織を再編する計画だ。国家監察委員会には、共産党員ではない公務員を調べる権限も与えられるとみられる。

しかし一部の専門家は、王岐山氏という重鎮がいなくなった中で、国家監察委員会がいったいどれだけの権限を得られるか疑問を呈している。また国家監察委員会のトップにだれが座るか、あるいはCCDIとの関係が厳密にどうなるかもはっきりしていない。

(Christian Shepherd、Philip Wen記者)

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