水素利用で2050年までの排出削減量の2割賄うこと可能に=業界団体
[ボン(ドイツ) 13日 ロイター] – 水素の利用推進を目指してトヨタ自動車<7203.T>や仏エア・リキード<AIRP.PA>が今年1月に設立した水素協議会(Hydrogen Council)は13日、電力や輸送、産業などで水素を利用することで、2050年までに削減する必要のある二酸化炭素(CO2)のうち約2割を減らすことができるとする報告書を公表した。
協議会は27社のメンバーで構成され、ホンダ<7267.T>やアウディ<NUSG.DE>、BMW<BMWG.DE>、ダイムラー<DAIGn.DE>、現代自動車<005380.KS>など自動車メーカーや、ロイヤル・ダッチ・シェル<RDSa.L>、トタル<TOTF.PA>などエネルギー企業が参加している。
報告書では、輸送やエネルギーの生産・貯蔵、産業、暖房などで水素を利用することで、2050年までにCO2を60億トン削減できると試算。「これによって、地球温暖化を摂氏2度以内の上昇に抑えるためにさらに必要とされる排出削減量の約2割を賄うことができる」とした。
また、米カリフォルニア州とドイツ、日本で販売される車は2030年までに12台中1台が水素自動車になると予想。
2050年までに4億台の自動車や1500万─2000万台のトラック、約500万台のバスのほか、4分の1の客船や一部の航空機などが水素を燃料としたものになる可能性があるとした。
その上で、こうしたシフトを実現するためには2030年までに総額2800億ドルの投資が必要になると指摘した。
水素自動車の利用は今のところ限定的で、価格の高さや水素ステーションの不足を踏まえると、普及には年数がかかると専門家はみている。
ただ、電池自動車(EV)の開発が進む中でも、トヨタやアングロ・アメリカン<AAL.L>など一部の企業は燃料電池車の利用を後押ししている。
現代自動車の研究・開発部門副会長を務めるWoong-chul Yang氏は、EVは都市での走行に向いており、燃料電池車は長距離により適していることから、両方が必要だとの見方を示した。