米国、前提条件なしで北朝鮮と直接対話の用意=国務長官
[ワシントン 12日 ロイター] – ティラーソン米国務長官は12日、北朝鮮と前提条件なしで直接対話する用意があると述べた。核放棄を対話の条件としていた従来の姿勢を修正したとみられる。
長官はワシントンのシンクタンクで講演し「とにかく会おう」と発言。「向こうが望むなら天気の話をしてもいい。ラウンドテーブル(丸い机)にするか、四角い机にするかを話してもいい」と述べた。
「その上で、どのような方向に向けて進んでいくか、ロードマップの設計を始めることができる」とし、初回の会合で公式協議の基本ルールを決めることを提案した。
長官は、北朝鮮の核保有は容認できないとの従来の立場を改めて表明した上で「(北朝鮮が)対話の準備を整えれば、いつでも対話に応じる用意がある」と発言。ただし、北朝鮮は従来の軌道を修正する意向を持って対話に臨むべきだと主張した。
トランプ米大統領がティラーソン長官の方針を全面的に支持しているかは不明。同長官は、政権内で影響力が低下しているとみられている。
ティラーソン長官は以前にも、外交ルートを通じて北朝鮮問題を解決する意向を示していたが、トランプ大統領は10月、対話は時間の無駄とコメントしている。
北朝鮮は、米本土を射程に収める核弾頭ミサイルを開発するまで米国との交渉には応じない姿勢を示している。専門家の間では、そうしたミサイルはまだ開発できていないとの見方が多い。
ティラーソン長官は「前提条件なしで初回の会合を開く用意がある」と発言。「プログラムを放棄する用意がなければ対話に応じないというのは現実的ではない。(北朝鮮は)多額の投資を行っている。その点は大統領も非常に現実的だ」と述べた。
ティラーソン長官は、北朝鮮に対する国際的な制裁の履行を強化するため、作業を進めているとも発言。特に中国はさらなる措置を履行できるとの立場を示した。軍事的な対応が必要になれば、米国には様々な選択肢が揃っているとも述べた。
危機発生時に北朝鮮の核兵器利用をどう防ぐかについて、中国側と協議したことも明らかにした。米軍が北朝鮮領内に入った場合は、韓国側に兵士を帰還させることも中国に確約したという。
ただ長官は、平和的な外交を通じて北朝鮮問題を解決する意向を明確にした。
長官の講演後、ホワイトハウスは「北朝鮮に関するトランプ大統領の考えは変わっていない」とする声明を発表。「北朝鮮は危険な行動をとっている。北朝鮮の行為は、同国はもちろん、誰にとっても好ましくない」とし、トランプ大統領がティラーソン氏の講演内容を承認していたかどうか不透明感が漂う格好となった。
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