焦点:中国鉄鋼業界、好況に終止符か 2018年は需要鈍化

[上海/マニラ 15日 ロイター] – 2018年の中国の鉄鋼需要は、中国政府によるてこ入れ策の終了や金融引き締めなどを受け鈍化する見通しで、国内の鉄鋼業界は2年間続いた好況に終止符が打たれることになりそうだ。

鉄鋼は今冬の生産抑制策が解除されれば供給量が増え、価格に再び下押し圧力が掛かる見込みだ。15日に商品・金融サービス会社が開いた会合で、アナリストらが予想を示した。

今年、中国の鉄鋼価格は一時、15年の水準の3倍近くまで跳ね上がった。政府の環境対策や冬季の抑制策に加え、過剰生産抑制やインフラプロジェクトなどを追い風に、鉄鋼企業の利益は膨らんだ。

上海の調査会社ホライゾン・インサイツの創設者であるワン・ペイ氏は「鉄鋼業界の好況期は終わるだろう。来年はファンダメンタルズが弱まり、第2四半期以降は需要も減速する」との見通しを示した。

中国の銀行の新規融資は過去最高を更新したが、アナリストの間からは政府のリスク縮小の取り組みにより与信拡大のペースは鈍ったとの声が聴かれる。

ロイターがアナリストを対象に行った調査によると、もし金融引き締めが続いて資金調達コストが今後も緩やかに上昇すれば、中国の成長率は今年第4四半期には6.6%、18年全体では6.4%まで落ち込むとみられている。今年1-9月は予想を上回る6.9%だった。

アナリストによると、鉄鋼は需要が弱まる一方で、中国政府が3月に冬季の生産抑制策を解除すれば生産量は再び増加する見通しだ。スクラップを活用した新しい鉄鋼生産も加わる。

中国はスモッグ対策として11月15日からから翌年3月15日まで鉱工業生産を抑制する政策をとっており、スティールホーム社の調査によると、鉄鋼在庫は6年来の低水準まで改善した。

アナリストによると、南部地域で需要が強かったことも重なり、鉄鋼会社の粗利は先月、トン当たり2000元(302.65ドル)と約20年ぶりの水準に上昇した。

中泰証券の鉄鋼アナリストのDu Hui氏は「このほどの高い利益は持続不可能で、供給の持ち直しに伴って徐々に低下するだろう」と述べた。

(Ruby Lian and Manolo Serapio Jr記者)

関連記事
2024年11月にトランプ氏が次期大統領に当選した後、韓国企業が相次いで米国への投資を発表。一方、中国事業の撤退や事業縮小が加速している。
2012年に習近平が就任して以来、中国からの庇護申請者は累計で100万人を超えた。2022年一年の庇護申請者数だけで前任の胡錦濤の10年間の任期中の総数に匹敵する。まさに地獄
ラーム・エマニュエル在日米国大使も間もなく離任する。彼は、米国、日本、韓国などインド太平洋地域の同盟国との協力の重要性を強調し、中共をロシア、北朝鮮、イランの「独裁者の枢軸」の一部として厳しく批判した。
自国経済も低迷、西側諸国のデカップリングも進む中、英国の財務大臣が中国を訪問し、中共政府とより緊密な貿易関係の構築を目指すと述べた。この財務大臣の言動に疑問の声があがっている
日米豪印4カ国の外相会合が、トランプ次期アメリカ大統領の就任式直後に開催される見込みだ。「クアッド」と呼ばれるこの4カ国の枠組みは、「自由で開かれたインド太平洋」の実現を目指している。この概念は、中国共産党の影響力拡大を念頭に置いたものだ。