南北会談、米「前向きな動き」と評価 北朝鮮は非核化の対話拒否

[ソウル/ワシントン 9日 ロイター] – 韓国と北朝鮮の政府高官は9日、2015年12月以来となる正式な南北会談を行った。11時間に及んだ高官級会談の後に出した共同声明で、北朝鮮は来月の平昌冬季五輪に政府高官・選手団・応援団を派遣すると発表。

一方、朝鮮半島の非核化に向けた対話を行うとの韓国側の提案には「強い不満」を示した。

米国務省の報道官は会見で南北会談について「明らかに前向きな動き」と評価。「われわれは核に関する対話と朝鮮半島の非核化を望む。今回はそれに向けた幸先の良い一歩だ」と述べた。国務省は、非核化に向けた対話が行われる場合、米政府は対話への参加に関心があると明らかにした。

9日の会談では、韓国と北朝鮮は問題を解決し、偶発的な衝突を回避するため、再び会談を行うことで合意した。

ただ、北朝鮮は今後の南北会談で核兵器を議題に取り上げることを拒否。核兵器は米国だけを対象としており、「同胞」である韓国は対象外であるためと説明した。

北朝鮮首席代表の李善権祖国平和統一委員会委員長は「原爆や水爆、弾道ミサイルなどあらゆる兵器は米国だけを対象としており、われわれの同胞や中国、ロシアを対象としていない」とした上で、「(核兵器は)北と南の問題ではなく、これを議題に上げるなら負の結果を招き、きょう築いたすべての成果が無駄になる恐れがある」と語った。

ホワイトハウスはこの発言へのコメントを出していない。

一方、韓国統一省は、今回の南北会談は核問題の「根本的な解決」に向けた協議につながる可能性があると説明。「この過程で、米国、中国、日本や他の近隣諸国と緊密に連携していく」とした。また、北朝鮮側に緊張を高める行為をやめるよう求めたことも明らかにした。

国連のグテレス事務総長は9日、南北会談の進展を歓迎し、特に朝鮮半島の緊張緩和に向けた南北軍事協議の開催で両国が合意したことは「誤算のリスクを減らすのに重要だ」と述べた。また、北朝鮮が平昌冬季五輪への代表団派遣を表明したことを歓迎するとともに、朝鮮半島の非核化に向けた対話の再開を期待すると述べた。

国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長は南北会談は「オリンピック精神にのっとった大きな一歩だ」と述べ、北朝鮮の参加に関する正式な提案を待つとした。

中国政府とロシア政府も南北会談を歓迎するコメントを発表した。

これとは別に、米国務省は9日、平昌冬季五輪期間中の安全確保に向けた南北会談の開催を歓迎するとともに、平昌五輪への北朝鮮の参加が国連の制裁決議に違反しないよう、韓国政府と協力していく考えを示した。

*内容を追加します。

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