米上院、移民関連法案の採決で超党派案も政権案も否決

[ワシントン 15日 ロイター] – 米上院は15日、4つの異なる移民制度改革法案について採決を行ったが、いずれも必要とされる60票の支持が集まらず否決した。

一連の法案は、幼少期に親と米国に不法入国した「ドリーマー」と呼ばれる若者約180万人の保護を目指すもの。

4案のうち、トランプ大統領が支持したグラスリー議員(共和党)の法案は賛成票が最少の39票にとどまった。同案は永住ビザ抽選制度の廃止、移民家族向けビザ発給の抑制を盛り込んでおり、共和党の指導部を含む14議員が反対票を投じた。

民主党は、大統領の強硬な姿勢がドリーマー保護に向けた議会超党派の取り組みを台無しにしていると指摘。民主党のシューマー上院院内総務は「今回の採決で、大統領の提案が決して法制化されないことが証明された」と述べた。

上院の超党派議員グループがまとめた移民制度改革法案の採決結果は賛成54票、反対45票。同案は、ドリーマーを強制送還から保護するとともに、国境警備の強化に250億ドルを拠出する内容で、可決される可能性が最も高いとされていた。

大統領はこの超党派法案を強く批判。政権側は不法移民の急増につながるとして同案に拒否権を行使する可能性を示唆していた。

共和党のマケイン上院議員と民主党のクーンズ上院議員が示した別の超党派法案も賛成52票、反対47票で否決された。

ドリーマーの強制送還を猶予する「DACA」プログラムは3月5日に失効する。

共和党のコーカー上院議員は記者団に対し、現行のつなぎ予算の期限である3月23日までに議会が可決を目指す予算法案にドリーマー保護の短期延長を盛り込むことが議論される可能性を指摘した。

共和党のマコネル上院院内総務は採決後、「これでわれわれの問題解決への取り組みが終わったわけではない」と発言。「法制化できる解決策を見つけるよう議員に働きかける」と語った。

同氏は先に、上院での移民法案可決の期限を今週末と設定していた。

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