ロシア、米外交官60人を国外追放 英暗殺未遂巡る措置に報復

[モスクワ 29日 ロイター] – ロシア外務省は29日、米国のハンツマン駐ロシア大使に対し、米外交官60人の国外退去とともに、サンクトペテルブルクにある米総領事館の閉鎖を命じた。

米国政府は英国で今月起きた元スパイ暗殺未遂事件にロシアが関与したとして、今週初め、国内のロシア外交官ら60人の国外追放とシアトルのロシア領事館の閉鎖を発表していた。

ロシア政府はまた、事件を巡り英米に同調してロシアの外交官などを追放した国の当局者についても同様に国外退去を命じると発表した。

今回の事件を受け、欧米諸国から国外退去命令を受けたロシア当局者は100人を超えている。

事件は今月4日、英南部ソールズベリーで発生。ロシアの元スパイであるセルゲイ・スクリパリ氏とその娘が神経剤で襲撃され、意識不明の状態で見つかった。

2人が入院している病院によると、スクリパリ氏は現在も重体だが、娘のユリア氏は快方に向かっている。

今回のロシア政府の対応は、暗殺未遂事件を受けて各国が一斉にロシア外交官の国外追放を発表したことへの報復措置とみられる。ただ、ロシアは各国と全く同じ措置で応じることで、事件を巡る欧米諸国との対立をエスカレートさせたくないという意向もにじませている。

英国政府は事件に使われた神経剤が旧ソ連軍が開発した「ノビチョク」だったとしてロシアの関与を主張。ロシアは関与を否定している。

英国はすでに、ロシア外交官23人を追放する制裁を課し、ロシアは同じく23人の英外交官を追放する報復措置をとっている。

これとは別に、英国の警察は、事件で使われた神経剤が最も高い濃度で検出されたのはソールズベリーにあるスクリパリ氏の自宅の玄関扉だったと発表した。

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