OPCW、神経剤襲撃事件巡りロシア提案の合同調査を否決

[ハーグ 4日 ロイター] – 3月に英国で元ロシア情報機関員らが神経剤で襲撃された事件を巡り、オランダ・ハーグにある化学兵器禁止機関(OPCW)は4日、ロシアが提案した同国も含めた合同調査の可否について採決を実施、反対15、賛成6で否決された。

OPCWはロシアの要請で執行理事会を臨時開催。3月4日に英南部ソールズベリーで起きた事件では、セルゲイ・スクリパリ氏とその娘が軍事級の神経剤で襲撃された。英国はロシアが関与したと断定し、多数のロシア外交官の国外追放を決定。米国など同盟各国も追随した。ロシアは関与を否定し、対抗措置として英外交官の追放を発表している。

執行理事会でロシアは、英国の要請を受けてOPCWが行っている独立調査に加われなかったことを理由に、新たな合同調査を提案。これについて英国は、責任逃れを狙った「邪悪な」試みでロシアによる情報隠匿の一環だと非難した。

関係筋はロイターに対し、ロシアの提案に賛同したのは中国、アゼルバイジャン、スーダン、アルジェリア、イランだったと明らかにした。米国と欧州各国は反対票を投じた。執行理事会を構成する41カ国のうち、この日の会合には38カ国が参加。棄権票は17票に上った。

ロシアのシュルギンOPCW代表は同国の提案が否決されたことを認めた。

1997年に発効した化学兵器禁止条約に基づき設立された国際機関であるOPCWは、ソールズベリーの事件現場から採取した神経剤のサンプルについて、検査結果を来週公表する見通し。

シュルギン代表は先に、サンプル検査へのロシアの協力が拒否された場合、検査結果を受け入れないと表明している。

これとは別にロシアは同日、国連安全保障理事会に対し、襲撃事件を協議するため5日に公開の会合を開催するよう要請した。ロシアのネベンジャ国連大使が明かした。

関連記事
米司法省はトランプ次期大統領の4つの重罪起訴を撤回へ。背景には現職大統領の起訴回避慣例が。ロシアはトランプ氏の和平案に注目し、対立の終結を期待。ウクライナとの和平条件の溝が深まる一方で、米国政治が戦争の動向に影響を与える可能性が示唆されている
米軍は台湾海峡を含むインド太平洋地域で分散配置を推進。HIMARSや空母を南西諸島やフィリピンに展開し、脅威に対応。3隻の空母や最新兵器を活用し、中国を牽制する動きを強化
2年前、全中国を席巻した「白紙運動(革命)」は中共執政以来数少ない抗議成功例となったが、今もなお大勢の若い抗議者が投獄され、あるいは行方不明になっている。
林芳正官房長官は26日の記者会見で、共同通信が生稲晃子外務政務官が参院議員就任後に靖国神社を参拝したとする記事を訂正したことに関し、「事実に基づかない報道がなされたことは極めて遺憾」と述べた。誤報は、日韓外交に影響を及ぼした可能性もある。
トランプ氏は、就任初日に合成麻薬「フェンタニル」の取引を巡る懸念を理由に中国からの輸入品に追加で10%の関税、不法移民問題をめぐりメキシコとカナダからの輸入品に25%の関税を課すと表明。