ロシア企業、米制裁で「深刻な影響」=フィッチ
[モスクワ 13日 ロイター] – 格付け会社のフィッチ・レーティングスは13日、米国のロシアに対する追加制裁は、対象企業に「深刻な影響」を与え、ロシアの潜在的経済成長を抑制するとの見方を示した。
米財務省は6日、ロシアの新興財閥の資本家7人と、その関連企業12社に制裁を課すと発表した。ロシアが世界中で繰り広げている「悪事」の恩恵を受けているとの理由だ。
フィッチは、「制裁対象となった企業は米ドルで取引できなくなり、深刻な影響を受けるだろう。商品取引はドル建てが基準となっている。取引先との主要通貨もドルだ」とした。
制裁はロシア市場に大打撃となった。通貨ルーブルが落ち込んだほか、制裁対象に関連した上場企業4社の株価がロシア株式市場だけでなくその他の市場でも急落した。アルミ大手ルサール<0486.HK>と複合企業En+グループ<ENPLq.L>、小型商用車メーカーGAZ<GAZA.MM>、産金最大手ポリュス<PLZL.MM>の4社だ。
フィッチは、ロシアがウクライナ南部クリミア半島を併合したことで米欧諸国がロシアに制裁を課した2014年以来「ロシア企業に影響する最も著しい制裁だ」とし、ルサールとEn+グループの投資判断を停止した。
ロイターの試算によると、制裁対象一覧に載った3人の資本家は6日以降、合計で75億ドルの損失を出した可能性がある。
フィッチは、ロシアは対外バランスシートが底堅いうえ、他の経済活動から外貨需要は十分に満たせると指摘。また、ルーブルが数年前に変動相場制へ移行したことに言及し、衝撃を和らげる要因となるとした。「ただ、制裁を受け先行き不透明感が漂っている上、さらなる制裁の可能性もあることから、投資が抑制されるかもしれない。そうしたら潜在的経済成長は抑制されるだろう」とした。
ロシア中央銀行によると今年の経済成長は予定通り2%増となる見込みだ。17年は1.5%増だった。