英海軍のK3 Scout無人艇 カメラが中国IPと通信 防省は接続遮断

2026/08/10 更新: 2026/08/10

英国海軍が運用するK3 Scout無人水上艇で、搭載カメラが中国国内のIPアドレスへ機器の稼働状況を示す定期信号を送っていたことが判明した。英国防省はカメラのインターネット接続を遮断し調査を実施。現時点で、機密データの流出や軍事システムへの不正アクセスを示す証拠は確認されていないとしている。

英紙「デイリー・テレグラフ」は8月9日、英国海軍が今年3月から、英クラーケン・テクノロジー・グループ製のK3 Scout無人水上艇(USV)を運用していると報じた。同艇は主に、英国海兵隊の沿岸部隊や第47コマンド部隊で使用されている。

英海軍のK3 Scout無人艇で中国IPアドレスとの通信を確認

報道によると、英国防省は定例のサイバー脆弱性評価で、無人艇のサブシステムに搭載されたカメラによる異常な通信を確認した。その後の調査で、カメラが中国国内のIPアドレスへ、機器の稼働状況を知らせる定期信号を送っていたことが分かった。

英国防省は問題を把握後、該当カメラのインターネット接続を直ちに遮断し、調査に着手した。防衛省のデータやシステムが外部からアクセス・侵害されたことや、データが国外に送信されたことを示す証拠は、現時点で確認されていないとしている。

クラーケン・テクノロジー・グループは、英国海軍と共同で検証を行ったと説明した。米国の国防授権法(NDAA)の要件を満たす一部の第三者製カメラには、英国以外で製造・調達された部品が少量含まれていたという。一方、機密情報が許可されていない経路に流出した事実はなく、潜在的な脆弱性も修正済みだとしている。

中国製部品を含む供給網、安全保障上の課題に

関係者によると、K3 Scoutは将来的にペルシャ湾へ配備される計画で、ホルムズ海峡における航行の自由を確保する英国軍にとって重要な装備の一つと位置付けられていた。関連する準備の一部も、この無人艇を使って進められていたという。

また、この無人艇は英国海軍の特殊舟艇部隊(Special Boat Service、SBS)の司令部や、機密性の高い軍事会議の開催場所に接近したことがあるとされる。このため、軍関係者や軍事施設への安全保障上の影響を懸念する声が出ている。ただ、英国防省は機密情報の流出を示す証拠はないとの見解を示している。

K3 Scoutは約600キログラムのペイロードを搭載でき、最長30日間の連続任務に対応する。英国のほか、米軍特殊作戦軍も同型機を調達しており、NATOがバルト海で実施した試験にも参加している。

英国で強まる対中技術・監視機器の安全審査

問題の発覚後、野党・保守党は政府に対し、軍事装備全般を見直し、中国製部品に関する安全保障上の懸念がないか調査するよう求めた。影の国家安全保障相アリシア・カーンズ氏は、軍が装備に使われた部品の出所を確認できなければ、その装備が完全に自国の管理下にあるとは保証できないと述べた。

今回の問題は、英国海軍の「プロジェクト・ビーハイブ(Project Beehive)」にも影響を及ぼす可能性がある。この計画は、無人戦闘プラットフォームと従来型の軍艦を連携させ、英国軍の海上戦闘能力を高めることを目的としている。

英国政府は近年、中国に関連する技術や機器への安全審査を強化している。2020年には国家安全保障上の理由から、ファーウェイ(Huawei)の機器を5G通信網から段階的に排除する方針を決めた。英国軍も重要施設に設置された中国製監視機器や一部のハードウェアを撤去している。

「デイリー・テレグラフ」は以前、英国特殊舟艇部隊が中国製EVの基地内への乗り入れを禁止したとも報じた。

英国の情報機関MI5も、中国による諜報活動のリスクについて繰り返し警告している。2025年10月には、外国の情報機関が人間関係の構築やサイバー活動を通じて機密情報の取得を図る手法に警戒するよう、英国の政界関係者に安全指針を示した。同年11月には、中国共産党の情報要員が、人材紹介会社を装ってLinkedInなどを通じ、英国の機密情報に接する人物に接触していると警告した。

王君宜
王君宜
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