英人気アニメ「ペッパピッグ」が不良分子?中国のネットから削除
中国動画共有アプリ大手の「抖音」は、人気の高い英国発アニメ「ペッパピッグ」の3万以上の関連短編動画をアプリから削除した。理由は不明だ。
削除は当局の指示ではない。米メディア・ボイス・オブ・アメリカ(VOA)(2日付)によると、一部の中国人ネットユーザーは、同アニメの愛好者が組織化することに「抖音」は警戒し、「セルフチェック」後の判断だとみているという。
「抖音」は、中国ネット情報サービス企業「字節跳動」傘下の動画共有アプリだ。4月、中国当局に閉鎖されたお笑い動画アプリ「内涵段子」も同社のサービスだ。
英プリスクールアニメ「ペッパピッグ」は2015年から中国に進出し、中国国営中央テレビの動画サイトなどで300億回再生され、人気爆発している。同アニメは5歳の女の子のペッパとその家族や友人との間の日常を描写する内容だ。
中国のインターネット上では過去数カ月、ペッパの人気が急上昇した。ブラックユーモアがちりばめられたシーンが多く、子供だけではなく大人の受けも良い。
このため、ネット上では、音楽付きバージョンや方言バージョンの「ペッパピッグ」、お笑い動画や、顔絵文字などが次々と投稿された。キャラクターのペッパをモチーフにしたストラップ、ぬいぐるみ、腕時計などの商品が、ネット通販で販売されるようになった。
なかには、体にペッパピッグのタトゥーを施した不良少年が現れた。これを真似する小中学生が後を絶たず、同デザインのタトゥーシールやペイントが大流行した。有名人もタトゥーを施した「セルフィー(自撮り写真)」をインターネットに投稿するなど、人気を後押しした。徐々に受けを狙うため、低俗な表現や諷刺のバージョンも登場した。そのため、ペッパは、定職に就かず遊んで暮らす人を指すネットスラング(中国語:社会人)の代名詞となった。
「ペッパビッグのタトゥーを施し、私は社会人だ」(小猪佩奇紋上身、掌声送給社会人」とのキャッチコピーは流行語ともなった。
中国共産党機関紙・人民日報(4月26日付)は、「現在、目立ちがり屋の小中学生は、ペッパピッグの洋服や腕時計を着用し、自慢し合っている」と批判した。
人民日報傘下の「環球時報」(4月30日付)は、「ペッパビッグ現象は、青少年の心身成長に悪影響を与えた」と指摘し、「『社会人』のシンボルになった」と非難した。
現在、「抖音」の「利用禁止行為」に、「暴力、低俗、下品」な投稿のほか、「ペッパピッグ」も明記されている。
当局に閉鎖された「内涵段子」アプリのユーザーはオフラインでも頻繁に集まり、交流を盛んに行っている。4月中旬、当局の閉鎖に反発し、多くの「内涵段子」のユーザーが抗議活動を行った。
抖音は「ペッパピッグ」の関連動画を取り下げたほか、1万5000のユーザーアカウントを永久閉鎖処理とした。
(翻訳編集・張哲)