アングル:南ア国債、マイナス成長でも新興国市場で輝き失せず

[ヨハネスブルク 7日 ロイター] – 南アフリカの第1・四半期国内総生産(GDP)成長率はマイナスに陥ったが、同国国債は新興国市場の中で相対的に魅力の高い資産になるとみられている。ラマポーザ政権が従来よりも企業寄りの政策を採用すると期待されるためだ。

ラマポーザ氏が昨年12月に与党アフリカ民族会議(ANC)の党首になり、今年2月には大統領に就任して以降、国内資産の価格は上昇している。ラマポーザ氏は、不祥事が相次いだズマ前大統領よりも政治の安定をもたらすと見込まれている。

新政権が年内に改革を加速させると予想されるため、他の新興国市場での改革の停滞で売買を手控えてきた投資家は、南ア国債が提供する高利回りに安心感を覚えるかもしれない。

新興国の債券は5月、米国債利回りの急上昇を受けて軒並み売りを浴びた。だが南ア国債は機関投資家の需要が短期的なパニックを抑え込み、資金流出は比較的軽微にとどまった。

スタンダード・チャータードのアフリカ担当チーフエコノミスト、ラジア・カーン氏は、失望を誘う内容だった第1・四半期のGDP統計が投資家(の南ア国債買い)を妨げる公算は小さいと語った。

同氏は6日、ヨハネスブルクで「南アフリカの実質金利は依然、世界の中では比較的魅力がある。新興国市場が買い場を提供していると受け止めているのなら、まずは南アフリカに注目すべき──とする多数の分析をわれわれは既にみている。前向きな心理が戻るだろう」と話した。

バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチのストラテジストであるガブリエル・フォア、デービッド・ハウナー両氏は、南アにおける最近の財政の改善、高い実質金利、比較的スティープ化した利回り曲線により、南ア国債は一段と魅力が高まっているとの見方を示した。

両氏は「10年物南ア国債の利回りは8.7%、当社の2018年予想インフレ率は4.6%だ。約4%の実質金利は、普段の南ア国債や新興国市場の他国と比べて高い」と付け加えた。

南ア国債の利回りはインドネシア国債の7.2%やロシア国債の7.4%より高いが、ブラジル国債の12%やトルコ国債の13.7%より大幅に低い。

この理由について、スタンダード・バンクのチーフトレーダー、ワーリック・バトラー氏は、南アは政治情勢が安定しているため、リスクを回避する投資家の資金が不安定な国から南ア市場に流れ込んでいるためだと説明した。

南ア市場の安定性は通貨ランドの1カ月後の予想変動率(インプライドボラティリティ)にも反映されている。

シュローダーズの新興国市場担当エコノミスト、クレイグ・ボサム氏は、南アフリカ準備銀行(中央銀行)の独立性と、2018年は平均4.9%と予想される低いインフレ率により、新興国市場が最近混乱したような事態が起きても、国内債券は動揺しないと考えている。

同氏は「国有企業の改革や、政府の経済への介入を撤回する動きも、(債券相場を)大きく支援している」と語った。

(Mfuneko Toyana記者)

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