ケネディ米最高裁判事が退任表明、後任は保守強硬派指名も

[ワシントン 27日 ロイター] – 米最高裁のアンソニー・ケネディ判事(81)は27日、7月31日付で退任する意向を明らかにした。後任にはより強硬な保守派が指名される可能性がある。

ケネディ判事は1988年に当時のレーガン大統領(共和党)の指名で就任し、最も影響力の大きい判事の1人となった。伝統的な保守派だが、重要な判決でリベラル派の側に付くこともあり、判決を左右する「浮動票」として知られた。

ケネディ氏の引退により、11月の中間選挙を前に上院ではトランプ大統領が指名する後任候補の承認を巡り与野党の対決が予想される。

トランプ大統領はノースダコタ州で開かれた集会で「ケネディ氏がわたしの任期中に退任すると決めたのは、わたしが正しい選択をし、自身の偉大な功績が引き継がれると信頼してくれたからだ。大変な名誉だ」と表明。

「偉大な人物を選ぶ必要がある。40、45年にわたって務めてくれる人物が必要だ」と続けた。

民主党のシューマー上院院内総務は「米最高裁判事の空席としては少なくとも一世代で最も重要」な意味を持つとの見方を示した。

ケネディ氏は声明で、家族と時間を過ごすことが引退の理由だと説明した。米最高裁判事は終身制を採用している。

トランプ大統領は後任選びに直ちに着手する考えを示し、保守派判事25人のリストから選ぶと述べた。

関係筋によると、このうちワシントンの連邦控訴裁判所のブレット・カバナフ判事、連邦第3巡回控訴裁のトマス・ハーディマン判事、連邦第6巡回控訴裁のレイモンド・ケスレッジ判事およびアムル・ターパル判事、連邦第7巡回控訴裁のエイミー・コーニー・バレット判事の5人が有力候補という。

トランプ大統領は昨年、保守派のニール・ゴーサッチ氏を最高裁判事に指名し、9人で構成する最高裁判事の保守・リベラルのバランスは保守派5人、リベラル派4人となっていた。

ケネディ氏の後任に保守派が就いてもこのバランスは数字の上では変わらないが、トランプ大統領はより強硬な保守派を指名する可能性があり、そうなれば残りの保守派の中で最も中道の立場を取るジョン・ロバーツ判事の判断が、一部の裁判で判決の行方を左右することになる。

ケネディ氏は伝統的な保守派だが、同性愛者の権利拡大や人工妊娠中絶の権利、政治献金規制の違憲判断を支持するなど、リベラルな面もあったため、同氏の退任後は、国論を二分する問題で最高裁の判断が保守化する可能性がある。

上院は定数100議席のうち共和党が51議席を握る。上院共和党はゴーサッチ氏の承認を巡る民主党との争いの過程で、単純過半数での承認が可能になるよう規則を変更しており、党内の結束を保つことができれば民主党の反対を退けて後任候補を承認することができる。

共和党のマコネル上院院内総務は、トランプ大統領が指名する候補の承認採決を「この秋」に行うと述べた。ただ、最高裁の次期開廷期が始まる10月や、中間選挙が行われる11月より前になるかは明らかにしなかった。

*内容を追加しました。

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