中国国営通信会社、中国電信(チャイナテレコム)は17日、米アップル社が提供するクラウドサービス「iCloud」のデータ保管業務を担うことになったと発表した(Justin Sullivan/Getty Images)

中国iCloudのデータ、国有大手のチャイナ・テレコムが保管へ 監視に乱用の懸念

中国国営通信会社、中国電信(チャイナ・テレコム)は17日、米アップル社が提供するクラウドサービス「iCloud」のデータ保管業務を担当することになったと発表した。対象となったのは約1億3000万人の中国人ユーザーの写真やインスタント・メッセージ、スケジュールなどの個人データ。中国当局がこれらのデータにアクセスできるようになる。

アップル社は米IT情報サイト「TechCrunch」の取材に対して、チャイナ・テレコムの発表内容を認めた。

アップル社は昨年7月、中国国有企業の「雲上貴州ビッグデータ産業発展有限公司」(以下、雲上貴州)との間で、中国大陸のiCloudサービスを今年2月28日から同社に移管するとの契約を結んだ。

中国メディア「財新網」「北京青年報」などはこのほど、6月末、チャイナ・テレコム傘下のクラウドサービス、天翼雲と雲上貴州との間で、共同でのiCloudデータ保管に関して合意したと報道した。中国のiCloudユーザーのデータはすべて、天翼雲のサーバーに移されるという。

今回の業務移管で、接続速度と接続品質が向上すると見られるが、中国のユーザーは当局によるデータの「窃盗」とプライバシー侵害に関して不安が高まっている。あるユーザーは、「ビッグブラザー(中国当局のこと)は効率性と安全性の見返りに、プライバシーを差し出せと言っている」と書き込んだ。

国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは3月、アップルがiCloudサービスを中国企業に移管したことに対して非難した。中国当局が今後、国内の人権活動家や民主運動家などの個人データにより簡単にアクセスできると懸念した。

一方、アップルは昨年7月、ロイター通信の取材に対して、中国企業への移管は、中国当局が同年6月に実施した新『ネット安全法』に基づく決定だと主張した。

中国人ユーザーのiCloudデータは米国のデータ庫に保管されていた。米司法当局の許可がなければ、中国当局は個人データを入手できなかった。

米TechCrunchは、現時点での対策として、中国のユーザーがiCloudアカウントを中国以外の国を指定することだと提案した。これによって、個人データの中国国内のデータ庫への移転は免れるという。

(翻訳編集・張哲)

関連記事
2023年5月25日に掲載した記事を再掲載 若者を中心に検挙者数が急増する「大麻」(マリファナ)。近日、カナダ […]
中国共産党が7月に反スパイ法を改正し、邦人の拘束が相次ぐなか、外務省が発表する渡航危険レベルは「ゼロ」のままだ。外交関係者は邦人の安全をどのように見ているのか。長年中国に携わってきたベテランの元外交官から話を伺った。
日中戦争の勝利は中華民国の歴史的功績であるが、これは連合国の支援を受けた辛勝であった。中華民国は単独で日本に勝利したのではなく、第二次世界大戦における連合国の一員として戦ったのである。このため、ソ連は中国で大きな利益を得、中共を支援して成長させた。これが1949年の中共建国の基礎となった。
香港では「国家安全法」を導入したことで、国際金融センターとしての地位は急速に他の都市に取って代わられつつある。一方、1980年代に「アジアの金融センター」の名声を得た日本は、現在の状況を「アジアの金融センター」の地位を取り戻す好機と捉えている。
米空母、台湾防衛態勢に 1月29日、沖縄周辺海域で日米共同訓練が挙行された。日本からはヘリコプター空母いせが参 […]