中国iCloudのデータ、国有大手のチャイナ・テレコムが保管へ 監視に乱用の懸念

2018/07/19 更新: 2018/07/19

中国国営通信会社、中国電信(チャイナ・テレコム)は17日、米アップル社が提供するクラウドサービス「iCloud」のデータ保管業務を担当することになったと発表した。対象となったのは約1億3000万人の中国人ユーザーの写真やインスタント・メッセージ、スケジュールなどの個人データ。中国当局がこれらのデータにアクセスできるようになる。

アップル社は米IT情報サイト「TechCrunch」の取材に対して、チャイナ・テレコムの発表内容を認めた。

アップル社は昨年7月、中国国有企業の「雲上貴州ビッグデータ産業発展有限公司」(以下、雲上貴州)との間で、中国大陸のiCloudサービスを今年2月28日から同社に移管するとの契約を結んだ。

中国メディア「財新網」「北京青年報」などはこのほど、6月末、チャイナ・テレコム傘下のクラウドサービス、天翼雲と雲上貴州との間で、共同でのiCloudデータ保管に関して合意したと報道した。中国のiCloudユーザーのデータはすべて、天翼雲のサーバーに移されるという。

今回の業務移管で、接続速度と接続品質が向上すると見られるが、中国のユーザーは当局によるデータの「窃盗」とプライバシー侵害に関して不安が高まっている。あるユーザーは、「ビッグブラザー(中国当局のこと)は効率性と安全性の見返りに、プライバシーを差し出せと言っている」と書き込んだ。

国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは3月、アップルがiCloudサービスを中国企業に移管したことに対して非難した。中国当局が今後、国内の人権活動家や民主運動家などの個人データにより簡単にアクセスできると懸念した。

一方、アップルは昨年7月、ロイター通信の取材に対して、中国企業への移管は、中国当局が同年6月に実施した新『ネット安全法』に基づく決定だと主張した。

中国人ユーザーのiCloudデータは米国のデータ庫に保管されていた。米司法当局の許可がなければ、中国当局は個人データを入手できなかった。

米TechCrunchは、現時点での対策として、中国のユーザーがiCloudアカウントを中国以外の国を指定することだと提案した。これによって、個人データの中国国内のデータ庫への移転は免れるという。

(翻訳編集・張哲)

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