<臓器狩り>国際NGOが新たな調査報告 「現在も進行中」

国際NGO(非政府組織)「法輪功迫害追跡国際組織(WOPIFG)」(略称「追査国際」)は7月20日、新たな調査報告書を発表した。ここでは、中国では臓器移植の件数がドナー(臓器提供者)数をはるかに上回るという不自然な状態が起きていることが分かった。WOPIFGは10年以上指摘している、政治犯や思想犯ら収監者の臓器の強制的な摘出が、いまだに続いている可能性が高いと改めて強調した。

同調査は2017年10月1日から2018年6月30日まで、中国全土の57の病院の院長や主任部長、医師、看護師と14省のドナー登録を管理する国営赤十字会の職員らを対象とした。報告書では100件の電話調査録音が取り上げられている。

それによると、中国では臓器移植手術件数が依然として膨大だ。同調査から「脳死」状態のドナーは充足しており、患者が移植手術まで待つ時間は平均でわずか2週間〜2カ月であるという。

赤十字「病院側はドナー取得のルートを持っている」

同調査は、中国各地でドナー登録者が少ない状況で、実際の臓器移植数は登録者数をはるかに上回っていることから、移植用臓器の需要のために待機する膨大な人口のドナーバンクが存在することを示唆させる。

山東省煙台市の赤十字会の当直職員は電話調査で、「赤十字は数十のドナーしか提供できない。病院が数百件や数千件もの臓器移植を行っているのは、多くのドナーを取得できる独自のルートを持っているからだ。赤十字には関係ない」と主張した。

中国、国家ぐるみで行っている臓器摘出

WOPIFGは、中国の臓器移植件数の急増と、全土で迫害政策により連行され失踪した大量の法輪功学習者の数の相関性から、中国の臓器強制摘出の犠牲者の多くは法輪功学習者と推察している。また、法輪功学習者は収容施設で、ほかの収容者が受けていないX線検査や血液検査、内蔵検査を複数回受けている。釈放された複数の受刑者や法輪功学習者の家族が、法輪功の迫害情報サイト「明慧ネット」へ伝えている。

WOPIFGは中国共産党政権の指導部である政治局常務委員(最高指導部メンバー)5人、国家中央軍事委員会副主席や国防部長(国防大臣)などの高官と、全国臓器移植病院891施設の移植医師9519人に対して、電話で大規模な調査を行った。

入手した証拠は、生きた法輪功学習者の臓器バンクがいまもなお存在すると指摘した。さらに、江沢民・元国家主席が法輪功の臓器の使用を命じたとして、中央政法委と法輪功迫害機関「610弁公室」の主導の下、軍隊、司法および衛生システムが全面的に関与するという国ぐるみの犯罪「ジェノサイド(集団虐殺)」があると報告した。

米ニューヨークに本部を置く追査国際は、2003年1月20日に設立され、カナダやヨーロッパ、オーストラリア、アジアなどに拠点を設けている。

欧米から非難の声 即停止の要求

米国へ逃亡した中国人の看護師が2006年3月、勤め先だった瀋陽市の蘇家屯血栓病中西医結合医療センターでは2001年から03年までの約3年間で、地下に監禁されていた法輪功学習者6000人余りのうち、約4000人が臓器強制摘出で命を落としたと証言した。これをきっかけに、複数の国際機関が調査に乗り出した。

一方、欧米政府もここ数年、相次いで中国共産党による臓器摘出問題を公に非難している。

2016年6月13日、米下院は343号決議案を通過させ、中国政府に対し、法輪功学習者ら良心の囚人に対する臓器の強制摘出を即刻停止するよう要求した。

欧州議会主席は2016年7月27日、414名の議員が共同署名した48号書面声明を正式に発表し、中国共産党に対し、良心の囚人からの臓器摘出を停止するよう要求した。

(翻訳編集・王君宜)

関連記事
米国と欧州連合(EU)が「中国の過剰生産」について深刻な懸念を表明する中、中国政府が自国内の電気自動車生産に関するすべてのデータを削除したことが確認された。中国国家発展改革委員会(発開委)は22日、公式ホームページを通じて「広東省深セン市で生産される電気自動車の価格が年初より5~10%下落したと統計された」と発表した。しかし、26日、発開委は電気自動車の生産および価格に関するすべてのデータを公式ホームページから削除した。
中共のスパイ活動に対する懸念が高まる中、英国政府は4月29日に、2025年4月までに、注意を要する敏感地域から、中国製監視システムを撤去する方針を発表した。
フランス海軍の副提督は、中国共産党がヨーロッパで展開する「ハニートラップ作戦」について警告した。映画のような巧妙な策略、魅力的な女性、エキゾチックなロマンス、そして軍の機密に通じる高級将校に絡む、スパイ映画を思わせるようなドラマが実際に起こっている。
アメリカは、中国の短編動画プラットフォームであるTikTokに対し、売却しなければ国内での使用を禁止するという歴史的な法案を成立させた。この動きは、国家安全保障と言論の自由という二つの重要な価値が衝突する象徴的な瞬間である。 「100年以上前から、外国資本の制限は米国の連邦通信政策の中核となっている」と、米国の法律専門家が述べている。
中国のゴールデンウイークの大型連休を控えるなか、同国の各地の大学が突然、「学生による『勝手な』な集団旅行(自転車やドライブ旅行も含む)」を厳しく禁じる」通達を出していたことがわかった。