米大統領、トルコが米牧師釈放しなければ「大規模な制裁」発動と表明

[ワシントン/イスタンブール 26日 ロイター] – トランプ米大統領は26日、トルコがテロリズムやスパイの罪に問われている米国人牧師を釈放しなければ同国に対し「大規模な制裁」措置を発動すると述べた。トルコ政府は反発しており、ともに北大西洋条約機構(NATO)に加盟する両国間の緊張が高まっている。

焦点となっているのはトルコに20年以上在住している米国人のアンドリュー・ブランソン牧師。2016年のクーデター未遂事件を起こしたグループや反政府武装組織のクルド労働者党(PKK)を支援したとして起訴され、今月18日にトルコの裁判所が同氏の収監継続を決定している。

トランプ大統領は「偉大なキリスト者で素晴らしい人物であるブランソン牧師を長期にわたり拘束しているため、米国はトルコに対し大規模な制裁措置を発動する」とツイッターに投稿。「ブランソン氏は大変苦しんでいる。信仰心が篤く無実のブランソン氏は直ちに釈放されなければならない!」とした。

これに先立ちペンス副大統領も同様の見解を表明。国務省が主催した宗教の自由に関するイベントで「(トルコの)エルドアン大統領、ならびにトルコ政府に対し、米大統領からのメッセージを伝えたい。ブランソン牧師を直ちに釈放しなければ、代償を払う用意を整える必要がある」と述べた。

ただ、トランプ大統領もペンス副大統領も米政府が具体的にどのような制裁措置を発動するかについては明らかにしていない。

こうした動きに対しトルコの大統領報道官は、米国のこうした姿勢は容認できず、両国間の関係を悪化させるものと批判。報道官は声明で「米国は自国の利益に加え、トルコとの同盟関係をさらに傷付ける前に方針を再考し、建設的になる必要がある」とした。

緊張が高まるなか、トルコ外務省によると、トルコのチャブシオール外相が米国のポンペオ国務長官と会談を行った。ただ会談の内容については現時点では明らかになっていない。

米政府が制裁措置導入の可能性を示したことを受け、外国為替市場ではトルコリラ<TRYTOM=D3>が一時1ドル=4.89リラに下落。ただその後は4.8420リラに回復した。トルコ株式市場のBIST100種指数<.XU100>も一時1.75%下落した。

*写真を追加します。

関連記事
全米の大学キャンパスなどで頻発している活発なパレスチナ支援デモに、中国共産党と関連のある団体が資金提供していることが明らかになった。「2024年米大統領選に向けて不安をあおり、若者を過激化させ、米国を不安定化させることが目的」と分析している。
国際人権NGO アムネスティ・インターナショナルが最近発表した報告によると、中国や香港出身の留学生が海外で人権活動に関わった場合、その家族が中共による脅迫や報復を受ける事例があることが指摘された。このような中共の国際的な弾圧の実態が、再び世界の関心を集めている。
WHOは、5月27日に開催される世界保健総会に先立ち、パンデミック条約の一部条項を緩和したが、アメリカの批評家たちは、これらの変更が政策に対する懸念を十分に解決していないと指摘している。
2020年以降、香港の自治が中国共産党によってさらに侵食されつつあるため、ワシントンは香港に対する政策を見直すよう求められている。米国のシンクタンクである「戦略国際問題研究所(CSIS)」は5月7日、「2020年以降の香港の自治権の侵食」というタイトルの報告書を公開した。同報告書は北京による香港支配の拡大を明確に描き、米国政府に対香港政策の見直しを促す40ページに及ぶ調査結果を発表した。
5月14日、メリーランド州、ネブラスカ州、西バージニア州で民主党と共和党の初選が行われた。前大統領ドナルド・トランプ氏と現職大統領ジョー・バイデン氏は選挙戦でいくつかの警告信号に直面したが、全体的な状況は安定していた。5月14日予備選挙のハイライト