ロシア最先端S-400ミサイル、予定大幅遅れて中国に納品 意図的か
ロシア当局はこのほど、中国側がロシア製の最新鋭地対空ミサイルシステムS-400を受け取り、すでに検収手続きを完了させたと公表した。
タス通信社は7月26日、軍事外交当局筋の話を引用し、中国当局はロシアが4月に引き渡しを始めたS-400の最初の配備分について受け取りを完了したと報道した。今回の供給には、指揮車両、レーダーシステム、対空ミサイル、発射装置、電力設備、関連部品などが含まれている。
S-400はロシアで開発された多目標同時交戦能力を持つ超長距離地対空ミサイルシステムである。
2015年4月13日ロシアの国営武器輸出企業ロソボロネクスポルトは、中国にS-400ミサイルを6セット輸出することで両国が合意したと発表した。総額は30億ドルに上る。
米ラジオ・フリーアジア(RFA)7月27日の報道によると、中国側が今回受け取ったS-400システムは、購入計画の一部で、4つの大隊のうちの1つに配備されるという。
RFAは、同システムは紆余曲折(うよきょくせつ)を経てやっと中国に納品されたと指摘した。中露双方は、17年までに、中国が購入したS-400システムをすべて引き渡すと合意していた。しかし、ロシア側は、生産能力の不足やロシア軍の配備優先などの理由で、中国への引き渡しを先延ばしした。
16年、ロシア政府は中国への供給を延期すると発表した。中国軍事専門家は、「ロシアは、中国を焦らしている」と批判したという。RFAは、ロシア軍は10年に配備開始以降、少なくともに18の大隊にS-400システムを実戦配備し、「これ以上優先的に配置する必要がない」と伝えた。
ロシア当局は、17年末にようやく引き渡しの準備を整え、ミサイルを積んだ船を中国に向かわせた。しかし、3隻の船がイギリス海峡を通過した際、暴風雨に遭い、一部の設備が破損したとロシア政府は発表した。修理と検査のため、うちの1隻はロシアに引き返した。この船に積んでいた部品が中国の最もほしいものだったという。納品はさらに半年後に先送りにされた。
RFAは、ロシア側が意図的に、中国へのS-400システムの引き渡しを遅らせているとした。背景にはロシアは軍事力や武器開発において、中国に対して絶対的な優位性を保持しようとする狙いがある。ロシアは、中国などがS-400システムを購入した資金で、S-400よりさらに性能が優れたS-500対空ミサイルシステムの開発に成功し、現在実勢配備に向けて取り込んでいるという。
今回中国側が受け取ったS-400対空ミサイルシステムには、射程400キロの40N6Eミサイルは含まれていない。中国側に供給されたミサイルの射程距離は40N6Eの半分しかないという。
一方、S-400の最大射程距離は400キロ、最高飛行高度185キロ、レーダーの最大探知距離が700キロ。射程600キロ以内の航空機、巡航ミサイルや弾道ミサイルを撃墜できる。中国はS-400システムの導入で、台湾全域を射程圏内に収めるほか、インド軍や韓国の駐在米軍などの動きを監視することが可能になる。
RFAは中国メディアの話として、「中国側は未納の設備の購入を拒否している」と伝えた。
(翻訳編集・張哲)