大紀元 毎週一字
漢字の神秘

【動画】毎週一字(1):真

毎週一字」は漢字髄をご紹介する教養コンテンツです。毎週一文字ずつをピックアップし、漢字に込められた本当の意味をお伝えします。

また、全日本書道連盟正教授青石清雲先生による示範のビデオ動画で、古代から伝わる伝統文化「書道」をご堪能ください。

記念すべき第一回は「真」

日本人の名前にも「真」の字は男女問わず多く使われており、とても身近に感じる漢字ですが、古代にこの漢字に込められた本当の意味とは何でしょうか。

生まれたばかりの赤ちゃんの命名にお悩み中のお父さん、お母さん、気になる異性の名前の意味をひも解きたいお年頃のみなさん、ぜひご参考ください。

今回は第一回目なので、古代の漢字の成り立ちからご紹介します。

漢字の成り立ち

黄帝(こうてい)が治世した時(紀元前2500年ごろ)蒼頡(そうけつ)という史官がいた。彼は、古代から伝わる縄を結んで事を記述する方法で、史実を記した。しかし、時間が経つと、結び目を付けた縄がたまり、何を記録しているのか分からなくなるという問題があった。

ある日、彼が狩りに出かけると、三叉路で同行の年寄りたちが言い争いを始めた。ある老人は、その先にカモシカがいるから東へ行こうと言い、もう一人の老人は、その先遠くないところに鹿の群がいるから北へ行くと言う。更に別の老人は西へ行くべきで、その先に2頭のトラがいるからと言い張った。

蒼頡がそれぞれに根拠を尋ねてみると、皆は地面に残っている野獣の足跡を見て判断したのだと言う。その時、彼は一瞬ひらめいて喜んだ。「一種類の足跡が一種類の野獣を表すことができるのならば、私も符号を使って記録したいものを表現できるではないか」。彼はすぐに走って家に戻り、物事を記述する符号の作成に取り掛かった。人に邪魔されないように、彼は閉じ籠って一心に様々な符号を作り始め、それらを「字」と名付けた。

最初に造った字は、すべて事物の形態を真似て描いたものだった。例えば「日」は丸い太陽を真似て描いたもので、「月」は夕月の形をなぞったものであり、「人」は人間の側面を、「爪」は鳥獣の爪の形を観察して描いた。彼はこのように細かく万事万物を観察し、大変な苦労を経て様々な字を造り上げた。黄帝はこれを知って大いに蒼頡を賞賛し、各部落に行ってこれらの符号の使い方を教えるよう命じた。こうして、彼が造った字は広く使われるようになった。

漢字の意味を説明する書「説文解字」

中国の漢の時代の許慎(きょしん)が、漢字の成り立ちやその本義を部首ごとにまとめた書を「説文解字(せつもんかいじ)」という。

第一回「毎週一字」でご紹介する漢字「真」について、「説文解字」には以下のように書かれている。

真,漢代許慎《說文解字》曰:仙人變形而登天也,此乃真之本義。

さて、中国語が分かる人も分からない人も、古代に「真」に込められた本当の意味を悟ることができますか。

「真」の意味

漢字の「真」は、上部の「十」と、真中の「目」という文字から成る。「十」は、仏教でいうところの「十方世界(宇宙には十次元、またはそれ以上の異なる次元が存在するという考え方)」を意味し、その下に「目」があることから、全ての次元を見通す「佛の目」を表す。

古代中国では、神や佛、仙人などの人間より高い次元に住む生命のみが、真実を見通す力があると信じられていた。彼らは肉体を持たず、自由自在であり、何によっても束縛されないからである。

一方、人間は己の主観思想に限定され、人間の肉体が知覚する感覚によって、気分も考えも翻弄されてしまう。

「真」はまた、中国古代から伝わる道教で非常に重んじられている。道教では、教えに従って修練を積み、「真」を求め、「真人」になることを目指す。真人は、どのような概念、観念、感覚からも解放され、自由自在である。真人の心は完全に「無」であり、だからこそこの世のいかなる要素からも束縛されないのである。

「真」と対象的なのが中国語の「假(うそ)」や日本でもお馴染みの「偽」である。この二つの文字に共通するのは人偏である。嘘、偽りなどは、人間の心から生まれると古代から信じられてきたからである。

 

(大紀元編集部)

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