中国国旗掲揚の台湾寺院 地元政府、「違法建築」と強制撤去
台湾彰化県は26日、違法建築があるとして中国国旗を掲揚する県内の寺の一部の強制撤去に乗り出した。数日前から同寺に対して断水の措置を取っていた。地元メディアの報道によると、寺の所有者は中国共産党政権とつながりのある組織から資金援助を受けている。
米紙ニューヨーク・タイムズや台湾メディア・中央社などよると、同県二水郷にある碧雲禅寺は約100年の歴史を持つ古刹。2012年、建設事業を営む魏明仁氏と寺側との間で、土地所有権をめぐってトラブルが発生し、寺が競売に掛けられた。その後、魏明仁氏が所有権を取得し、寺にいた4人の尼僧を追い出し、寺院の名称を「愛国教育基地」に変えた。撤去された仏具の代わりに、毛沢民や周恩来の肖像画や中国共産党の宣伝ポスターが飾られている。
魏氏はニューヨーク・タイムズに対して、中国国旗の掲揚は、「祖国統一」を実現させる決意の表れだと述べた
ニューヨークタイムズの同報道によれば、地元の住民らは、騒動の背後に中国当局が暗躍しているとみている。住民は、中国国旗の掲揚に対して強く反発している。
米中国メディア「新唐人」は6月5日、魏氏の中国共産党擁護の姿勢に抗議し、40~50人の住民が寺院の近くでデモを行なったと報道した。
彰化県の魏明谷県長は21日、魏明仁氏が不法に碧雲禅寺を占有し、寺院を政治に利用していると批判した。県長は同日から碧雲禅寺の水供給を中止し、26日に寺院内の「非歴史建築物」を違法建築物として撤去すると明言した。500万台湾ドル(約1842万円)の工事費用を魏明仁氏に請求する意向だ。
林明裕副県長は、魏氏の行動は国家安全にとって脅威だとの見方を示した。
いっぽう、台湾メディアの自由時報は26日、台湾国家安全当局の担当者の話を引用して、魏明仁氏は中国当局につながる「致公党」から資金を提供され、現在中国共産党統一戦線部がバックアップしている「愛国同心会」から支援を受けていると報道した。
(翻訳編集・張哲)