焦点:カタールのOPEC脱退、米国でのLNG開発加速が狙い

[ドバイ/ドーハ 13日 ロイター] – カタールの国営石油会社カタール・ペトロリウム(QP)の最高経営責任者(CEO)のサード・アルカービ氏は、石油担当相に就く前から、石油輸出国機構(OPEC)からの脱退を待ち望んでいた。OPEC加盟国であり続ければ世界最大の液化天然ガス(LNG)田を抱える米国での開発に足かせとなり、LNGに注力したい同社の方針にとって障害となるためだ。

業界関係者によると、カタールのOPEC脱退は、LNGに注力したいアルカービ氏の思惑により、数カ月も前から計画されていた。カタールは産油量が少ないためOPEC内部での発言力が小さく、アルカービ氏が生産量が多い天然ガスへの注力を望んでいた。

アルカービ氏は先週、最優先はLNGの生産だと語った。OPEC加盟国であり続けることにこれ以上価値を見いだせず、「脱退は政治的要因によるものでは全くない」と述べた。また、QPは近く「大きな話題を振りまくだろう」と述べた。

米国で検討されている「石油生産輸出カルテル禁止法(NOPEC)」法案は、OPEC加盟国を独占禁止法で訴えられるとの内容で、米国で膨大な投資を計画しているQPにとってはリスクとなる。

トランプ米大統領は、OPECを原油価格が高止まりする一因と非難し続けている。サウジアラビア人記者、ジャマル・カショギ氏の殺害事件を巡り、米国とサウジアラビアの関係が微妙になりつつあるのもOPEC加盟国にとっては不安材料だ。

業界関係者は、どうころんでもNOPEC法案が成立した場合、世界最大のLNG産出国を目指すカタールにとってはリスクになる、と指摘する。QPは米テキサス州の巨大な天然ガス田、ゴールデン・パスの大株主であり、近く米国の天然ガス資産への追加投資について最終決定を下すほか、他にも米国のガス田買収を検討している。

カタールの産油量は日量60万バレル程度と、世界全体の需要の0.6%相当にとどまる。一方でLNGの産出量は年間7700万トンと、世界市場で最も影響力が強いプレーヤーに属する。

LNGはカタールがサウジアラビアなどによる断交にも屈しない主因であり、カタールは2023-24年にかけてLNGの生産能力を43%拡張する計画だ。

カタールのOPEC脱退は、カタールと断交しているサウジアラビアやバーレーン、エジプト、アラブ首長国連邦(UAE)にも打撃となった。9日にサウジアラビアで開かれた湾岸協力会議(GCC)にカタールの首長は出席せず、対立が終結する兆しがないことが浮き彫りとなった。

アルカービ氏は米国で教育を受けた技術者。「Mr.ガス」として知られ、カタールでは有力者の1人だ。王族ではないものの、天然ガス資源事業に影響力を持ち、政権深部とも関係が深いとされる。

関係者によると、OPEC脱退の計画は6月にアルカービ氏が当時のサダ・エネルギー相とOPEC会合に出席した際に浮上した。サダ氏は2016年にOPEC議長を務め、非加盟国のロシアを含め関係国の調整に尽力して減産を実現するなどの実績を持ち、断交後もサウジやUAE当局者とのパイプを維持していた。

だが、カタール政府は11月、サダ氏を更迭してアルカービ氏をエネルギー相に据えた。政府関係者は「アルカービ氏の石油相就任で状況が変わる。以前と同じ関係は保てないだろう」と述べた。

(Rania El Gamal and Eric Knecht記者)

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