米シンクタンクは、世界各国の若者を魅了した中国発のショート音楽動画共有アプリ「TikTok(ティックトック)」について、ユーザー情報が中国当局に渡る可能性があると警鐘を鳴らした(JOEL SAGET / AFP / Getty Images)

ファーウェイの次にTikTok「中国の情報収集ツールだ」米シンクタンクが警鐘

若者に人気の短編動画共有アプリ「TikTokティックトック)」について、米シンクタンクはこのほど、ユーザーの個人情報が中国当局に渡っている恐れがあると報告した。この中国開発アプリは、通信大手の華為技術(ファーウェイ)と同様に、中国諜報機関のために情報収集をしているという。

米ワシントンDCに本部を置くシンクタンク、ピーターソン国際経済研究所(Peterson Institute for International Economics, PIIE)は最新調査報告で、TikTokの危険性を指摘した。

TikTokは、中国メディア企業の字節跳動(ByteDance、バイトダンス)が2016年9月に提供を始めた短編動画共有アプリ。10代後半からミレニアル世代を中心に人気を集め、全世界の累計ダウンロード数は約8億回に達した。

報告書によれば、他の中国開発アプリと同様に、ユーザーの個人情報や位置情報を中国にあるサーバーに送っているという。中国政府から情報収集の協力要請があれば、ユーザー情報を簡単に入手できる。

2018年8月、ハリウッドのクラブで、TikTok USのオープン記念イベントが行われた(Joe Scarnici/Getty Images)

米国当局が問題視しているのは、一部の若い軍人が軍服のまま基地内や航空機内などで自撮りしてTikTokに投稿していることだ。これらの情報に基づいて、中国当局による西側諸国の軍事活動の情報入手を許すほか、兵士らの顔面識別情報を提供することになる。

ピーターソン国際経済研究所は、TikTokはファーウェイのように、欧米各国政府の国家安全保障を脅かす可能性が高いとその危険性を強調。各国政府に対策を講じるよう呼び掛けた。

TikTokは日本の小中高生の間でブームとなっている。株式会社マイナビが運営する10代女子向け総合メディア「マイナビティーズ」が昨年11月に発表した「2018年10代女子が選ぶトレンドランキング」では、TikTokは「流行したモノ」ジャンルの2位となった。

バイトダンス側の最新統計によれば、全世界の月間TikTokアクティブユーザーは5億人。中国国内の月間アクティブユーザーは3億人だ。

(翻訳編集・張哲)

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