孟子が自分を恥じる

生活様式が床から椅子へ移り変わった中国では、『正座』という習慣が途絶えてしまってから久しいものがあります。しかし、礼儀正しい座り方としての『正座』というものが、かつて中国にも存在していました。

中国の春秋戦国時代の思想家・孟子(紀元前372年頃~紀元前289年頃)は帰宅した時、脚を崩しお尻を着けて座っている妻の姿をしばしば目にするようになりました。そして、内心では不快な想いを抱くようになりました。ある日、孟子はこのことを実の母に相談してみることにしました。

孟子:「妻は礼儀をわきまえていません」

母 :「なぜそう思うのですか?」

孟子:「私が帰るといつも脚を崩しています」

母 :「どういう状況なのですか?」

孟子:「部屋に入ると目に入ります」

母 :「それは彼女が礼儀を知らないのではありません。礼儀を知らないのはあなたの方です。人がいる部屋に入る前には、少しだけ戸を開け、『よろしいですか』と中にいる人に声をかけるものです。客間に入る時にも、入るということを告げてから入るものでしょう。これらのことは『礼経』にも書かれています。人が休んでいる部屋にいきなり入っていったならば、相手は無防備な状態にあるのです。失礼なことをしているのはあなたであるのに、どうして他人を無礼だなどと言えるのでしょうか」

▶ 続きを読む
関連記事
「いい塩梅」の語源は、文字どおり塩と梅。梅を漬けると生まれる梅酢と塩の加減から生まれた言葉は、やがて人間関係や国を治める知恵を表す言葉へと広がっていきました。
寛大な人は特別な性格だからではなく、周囲の人の気持ちや変化に気づく力が高いのかもしれません。研究が示す「寛大さを育てる方法」を紹介します。
慢性炎症は、老化や糖尿病、認知症など多くの病気の背景にあると考えられています。専門家が、免疫バランスと腸内環境の関係、そして健康寿命を延ばすために今日からできる習慣をわかりやすく解説します。
肩や首の痛みの原因と対処法を、リハビリ専門医が解説。正しい座り方・枕の選び方・毎日できる3つのストレッチで、慢性化する前にセルフケアを始めましょう
30代、40代のビタミンD不足が、将来の脳の健康に影響するかもしれません。最新研究では、認知症の症状が現れる何年も前から脳に変化が起きる可能性が示されました。今からできる対策をわかりやすく紹介します。