イメージ写真(Pixabay)

苦手=嫌いとは限らない!指導の工夫で苦手が好きになった瞬間

誰にも苦手なことがあります。「好きなことや得意なことをやればいい」と思っていても、苦手なことを全部避けて通るわけにはいきません。工夫次第で、苦手なことでも嫌いではなくなるかもしれません。特に無限の可能性を持つ子どもは苦手なことを楽しむようになれば、違う世界が開けます。

ある体操教室で体操のコーチをサポートする立場にあった筆者はある男の子と出会い、苦手が好きになった瞬間に立ち会えました。

運動嫌いなA君との出会い

あるとき体操教室に、小学校3年生のA君が入ってきました。

お母さんの話によると、とにかく運動が嫌いで学校の体育もさぼりがちだとのこと。何とかしなければと、体操教室に連れてきたということでした。A君は少々太り気味で、その体型からも運動があまり得意でないことがうかがえました。

本人にどうして運動が嫌いなのか聞いてみると、「つまらないから。ここにも来たくなかった」といいます。私は「これは困ったぞ」とひそかに思ったのでした。

運動が苦手なのには理由がありました。

体操のプログラムが始まり、案の定、A君は参加しようとしません。「入りたくなったらおいで」と声をかけました。

この日のコーチは、明るくて盛り上げ上手なベテランのコーチ。いつも以上におもしろい調子で、子どもたちの気持ちを盛り上げます。そしてそれを興味深そうにじっと見るA君。「おもしろそうだな」と感じているのは明らかでした。

するといいタイミングでコーチが、「次、A君の番だよ」と声をかけてくれたのです。何事もなかったかのように体操に参加し始めたA君。私はA君の体操の様子を見て、「運動に対して自信がないから、よけいにやりたくないのかも」と感じました。

指導の工夫で苦手が好きに

体操のコーチは指導の際、一人一人の能力に合った課題を与え、スモールステップで進めていきます。そしてA君には、まずは能力よりも少し簡単な課題を与え、自信をつけさせることにしました。

はじめのうち、必ず「こんなのできない」といっていたA君。しかしやってみると、意外と簡単にできることがわかったようです。しかもできると盛大にほめてもらえます。そんなことを毎回繰り返すうち、A君は「できない」と言うことがなくなり、自分から進んで体操に参加するようになりました。

そしてある日、私の耳元で、「先生、ここでやる体操は楽しいよ!」と言ってくれたのです。

その後A君は、どんどん難しいことにも挑戦するようになりました。ついに、「もっと上手になりたいから、ダイエットする!」とまで言い出したのです。その言葉通り、A君はダイエットを決行。ちょっぴりスマートになり、できることがさらに増えたA君は、運動がますます大好きになりました。

大人の関わり方次第!

A君は簡単な課題をクリアすることで自信を取り戻し、達成感を味わったことで体を動かすことの楽しさに目覚めたようです。

体操にかかわらず、どんなことでも「苦手だからやらなくてもいい」ではなく、「苦手だけど楽しい」と感じてもらうことが大切なのだと、私はA君の姿を見て気が付きました。

大人の関わり方や指導の仕方次第で、好きにさせることも嫌いにさせることもできる。あらためて、子どもの指導に対する責任の重大さをかみしめた出来事でした。

(大紀元日本ウェブ編集部)

関連記事
よもぎと小豆は、漢方と日常生活において重要な役割を果たしてきました。二つの組み合わせはその味に魅力があるだけでなく、そのユニークな性質を活かして体のバランスを整えてくれます。
この若草色の団子は、ただ目で楽しむだけでなく、桜の花々とともに季節の風情を一層引き立てます。
築200年の荒れ果てた家を購入し、5年かけて新しい命を吹き込んだ米国イリノイ州の夫婦は「それだけの価値があった […]
現代社会は、ストレスや様々な疾患に直面しており、多くの人々が健康への不安を抱えている状況にあります。しかし、私たちの身近な食材には、そんな不安を和らげる力を持つ意外なヒーローが存在します。それが「キャベツ」です。
SARS-CoV-2(新型コロナのウイルス名)のスパイクタンパク質が抗がん作用を妨げ、がんを促進する可能性があることが、最近発表されたブラウン大学による細胞研究のプレプリント(査読前原稿)で明らかになった。