2019年5月、東京に華為の大型看板が掲げられている(GettyImages)

ファーウェイ、日本の安全保障貿易情報で注意リスト入り

日本の安全保障貿易情報センター(CISTEC)はこのほど、輸出リスクのある企業として、ファーウェイ(華為技術)を追加した。米商務省の実質上の禁輸措置に加え、日本企業はファーウェイとの取引に今後、さらに消極的になると考えられる。

米トランプ政権は、ファーウェイおよび68の子会社・関連企業を輸出規制リストに追加した。これを受けてCISTECは5月16日の会員向け報告で、ファーウェイを潜在的な懸念のある企業や組織リスト「チェイサーリスト」入りしたことを報告。取引する日本の貿易事業社に、今後、慎重を期すように注意を促した。

CISTECのチェイサーリストは、日本の輸出入の監視、会員のリスク管理のため、日米欧および国連により認可されない組織や企業と取引を行わないように、警告情報を提供する。大量破壊兵器の開発に関与が疑われる組織がこのリストに追加されている。

CISTECによる注意リストとの取引は、法的拘束力はない。しかし、半導体やハイテク機器、工学機械などを多く輸出する日本企業は、関係国との取引違反を受けるリスクを回避するために、CISTECのチェイサーリストに注目している。ファーウェイのリスト入りにより、日本企業は自発的に取引停止や慎重な行動を取るとみられる。

5月16日、トランプ米大統領は国家緊急事態を宣言し、米国企業による非米国企業の通信機器使用を禁止する大統領令に署名した。「外国の敵対者」による情報悪用を防ぐことを目的としている。名指しはしていないが、中国共産党政府に近いファーウェイを念頭にしている。

大統領令は、「外国の敵対者の管轄権、指示により所有、支配される者が製造・提供する情報技術を米国内で無制限に使うことは、情報の脆弱性を作り出す。そして、これを悪用する外国の敵対者の能力を増強させる」と説明する。

同日に米商務省の発表した、輸出制限リスト「エンティティリスト」は、米国の安全保障や外交政策上の利益に反するものと定められる。リスト入りにより、米企業との取引は厳しく制限され、実質上の禁輸措置となる。

(編集・佐渡道世)

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