香港民主派の大規模デモが警官隊と衝突、政治危機の様相強まる

[香港 10日 ロイター] – 香港で9日、中国本土への容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」改正案に反対するために民主派が行った大規模デモは、立法会(議会)の周辺に配置された数百人の警官隊と、警官隊が築いた阻止線突破を試みたデモ参加者が衝突する騒然とした事態になり、政治危機の様相が強まっている。警官隊は10日朝も立法会包囲を続けた。

警官隊はデモ参加者を警棒でたたいたり、胡椒スプレーを使って鎮圧に動き、双方に負傷者が出たもようで、救急車も出動した。こうした衝突の影響で、金属製の障壁が折れ曲がる様子も見られた。

逃亡犯条例改正案は、12日から立法会で審議が始まる予定。ただ、民主派は、逃亡犯条例改正によって「1国2制度」の下で香港に認められてきた法的な独立性が損なわれるリスクを懸念。このため逃亡犯条例改正の中止と、中国政府の支持を受けている林鄭月娥行政長官の辞任を要求するデモが実施された。

抗議デモの参加者は主催者側の発表で103万人とされ、2003年の「国家安全条例」案に反対した50万人規模のデモを大きく上回った。警察側は、デモ参加者はピーク時で24万人と見積もっている。

香港紙、明報は論説で、政府は抗議活動を真剣に受け止めるべきだと指摘。条例改正を無理やり推し進めれば緊張が一段と高まるとの懸念を示した。

一方、中国の国営英字紙チャイナ・デーリーは10日の論説で、「外国勢力」が混乱を画策しているとの見方を示した。チャイナ・デーリーは「公正な人であれば、条例改正案は香港の法治と正義のための合法的で賢明で妥当な法案だと考えるだろう」と指摘。「残念ながら香港の一部の住民は、野党勢力やその仲間の外国勢にだまされて改正反対運動を支持している」とした。

アムネスティ・インターナショナルは、条例改正は人権に対する脅威だとし「仮に施行されれば、中国当局は、香港の評論家や人権活動家、ジャーナリスト、NGO職員などを、中国本土と同じようにターゲットにすることが可能になる」と指摘した。

*内容を追加します。

 

6月9日、香港で、中国本土への容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」改正案に反対するために民主派が行った大規模デモは、立法会(議会)の周辺に配置された数百人の警官隊と、警官隊が築いた阻止線突破を試みたデモ参加者が衝突する騒然とした事態になり、政治危機の様相が強まっている。写真は9日のデモの様子(2019年 ロイター/Thomas Peter)

 

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