トランプ米大統領の元ブレーンであるスティーブン・バノン氏は6月23日、大紀元の取材に応じた(王松林/大紀元)

G20米中首脳会談、「中国側に構造改革意思がない」=バノン氏

大阪での主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)に出席するトランプ大統領と習近平国家主席は29日、米中首脳会談を行う予定。この会談で、膠着(こうちゃく)している米中貿易摩擦について意見が交わされるとみられる。トランプ米大統領の元ブレーンであるスティーブン・バノン氏は23日、大紀元の取材で中国当局は構造改革を進める意思が全くないため、通商合意は難しいとの見方を示した。

「中国当局は、米中通商問題で合意する意欲が全くない。中国側は経済失速を容認しながら、2020年の大統領選でトランプ大統領が落選するまで、貿易戦争を続けようとしている」

バノン氏はインタビューで、「米中通商協議には2つの要因がある。一つは貿易問題だ。しかしこれよりも重要なのは、6つの基本分野(six fundamental verticals)のことだ。つまり、中国共産党による国家資本主義を打ち破ることである。中国経済の構造改革を通じて、中国の富が当局の権貴集団ではなく、国民の手元に返還することができる。だから、中国当局が拒むのだ」

バノン氏は、「トランプ米大統領やライトハイザー米通商代表部(USTR)代表とナバロ国家通商会議(NTC)委員長などは、中国で構造改革を推し進めることによって、『ヴェストファーレン(westphalian)体制』という西側民主体制を中国に導入したいと考えている」と述べた。

バノン氏は29日の米中首脳会談について、「習主席が、トランプ大統領に3000億ドル相当の中国製品への新たな関税を延期するよう要請するだろう。また、双方が通商協議の再開について議論を行うだろう」と推測した。

バノン氏はインタビューで、近年、海外投資を急拡大してきた中国大手企業の海航集団(HNA)や安邦保険集団などが、中国当局のためにマネーロンダリングを行っていると指摘した。また、同氏は中国当局の目玉政策である巨大経済圏構想「一帯一路」「中国製造2025」と「ファーウェイ(華為技術)5G構築」について、「中国当局が世界経済の覇権を実現するための3大戦略である」との見方を示した。さらに、中国通信機器大手のファーウェイは「中国軍と関係があるのではなく、中国軍そのものである。ファーウェイの不透明な97%株式保有者はまさに中国軍だ」と改めて強調した。

また、在米中国経済学者の程暁農氏も27日に大紀元の取材に応じた際、米中首脳会談の見通しについて、バノン氏と同じ考えを示した。

程氏は、中国当局は国内外のメディアを通して、通商交渉で米国側に譲歩しないと繰り返し主張してきたため、「29日の米中首脳会談でも歩み寄る姿勢を示さないだろう」と述べた。

「中国当局は、貿易戦で中国経済が大きな損失を受けたという被害者のふりを演じているだけだ。中国当局は、知的財産権侵害、技術窃盗が正当なやり方だとすら考えているから、譲歩するはずがない」

「トランプ大統領と首脳会談を行う目的はできるだけ貿易戦の期間を伸ばして、米国内外の情勢変化を待ちながら、貿易戦を続けることだ。中国当局の損失を減らす、あるいは危機を回避するという策略だ。米国側の要求に応えれば、中国当局は政権崩壊という最大の危機に直面しなければならないからだ」

(翻訳編集・張哲)

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