(Photo credit should read PHILIPPE HUGUEN/AFP/Getty Images)

新生児集中治療室にわが子を残して 代わり警察官が出動

未熟児で生まれた新生児の両親、アダム・ウィンチとメリッサ・ウィンチにとって、懸命に生きようとしているわが子、アクセルを残してオーロラ病院(コロラド州)を去ることほど辛いことはなかった。しかし、地元警察チームのおかげで、赤ちゃんは一人で戦っているわけではないのだと安堵することができた。

コロラド州にある小さな街、グランド・ジャンクションで警察官をしているメリッサ・ウィンチは、2017年7月29日に妊娠29週で息子アクセルを出産し、人生で最も辛い日々を過ごした。

地元病院の医師たちは、両親の腕の中で産後数週間のうちに何度も生死をさまよっている小さな赤ん坊を前に、その原因を突き止めようと奮闘した。

遺伝子の変異によってわずか2ポンド12オンス(約1kg)で生まれたアクセルは、当初視力も聴力もなく、その他の健康問題も山積みで、生存の可能性はごくわずかだった。彼の骨格構造はもろく、肺は彼が生まれた29週目においてもはるかに未発達だった。

脳も正常に発達しておらず複数の出血があったため、すでに身体が弱体化した状態での手術を余儀なくされた。

両親は可能な限り仕事を休んでは、より良い設備が整ったオーロラ病院(コロラド州)へとアクセルを連れて向かった。彼の手術と脳や肺の発達を促すステロイド治療は、すべてオーロラにある小児病院で行われ、両親は毎日アクセルの側に付き添った。

以前グランド・ジャンクション警察で働いていた現オーロラ警察の警察官が、ウィンチ夫妻の奮闘に気づいた。彼は職場に向かうとすぐに、所属する部署でできる限りの夫妻への支援を検討し、彼らに無料の宿泊施設を提供するとともに、帰宅するのにかかる1か月分の交通費を肩代わりすることにした。

やがてアダムもメリッサもこれ以上仕事を休めなくなり、最も過酷な状況の中息子をオーロラの病院に残したまま別れを告げて帰宅しなければならなかった。

アクセルを一人にしたくなかったオーロラ警察は、彼の両親が病院にいられない間、交代で付き添いをする「カドルウォッチ」を設立し、部署の仲間に協力を要請した。

このすばらしい計画を支えたのは、オーロラ警察健康管理部のマイク・ピトラス巡査部長だ。

最終的に約20人の警察官がカドルウォッチに参加し、アクセルに寄り添いながら成長する彼の姿を写真に収めた。生存の可能性はごくわずかだと言われていたのがうそのように、アクセルは数々の症状に打ち勝ち、生き続けた。警察官たちは、アダムとメリッサがこれ以上寂しい思いをしないようにと、両親のためにアクセルの様子を日記につづった。

警察官たちは歌を歌ったり、絵本を読んだりと、たくさんの愛情をアクセルに注いだ。

彼らの活動はアクセルにとって有益であるだけでなく、治療にも成果をもたらした。2017年11月中旬にはアクセルの体重は増え始め、視力と聴力にも回復が見られたため、彼は両親の待つ家に帰ることができたのだった。

いまではアクセルはちっとも寝てくれないと嘆くウィンチ夫妻。けれど、この奇跡の子どもがこれからの毎日を元気に過ごしてくれることは彼らにとって最高の喜びである。

大紀元日本ウェブ編集部

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