障害のある人にとって、公共の乗り物に乗ることはとても大変なことです。乗り物にたどり着くまでが一苦労ですし、乗車する際には居合わせた乗客のつれない態度に遭遇することもあります。
あるバス運転手が、援助を必要とする乗客の心折れる体験を、気持ちが明るくなる話に変えました。硬化症を患い車椅子を利用しているフランコ・ベレは、パリの第17区からのバスを待っていました。バスが到着したときに彼を待ち受けていたのは、動いて場所を空けるのをいやがる乗客たちの顔でした。ベレは、ハフィントンポストのインタビューで、「出入口なのに、皆が場所を空けるのをいやがっていました」と言っています。
こうした乗客の態度に運転手は怒り、立ち上がって、「終点! 全員降りて!」と乗客たちにバスを降りるよう告げました。「全員が運転手の命令に従いましたが、中には不平を言っている乗客もいました。運転手は、乗客にこう言ったのです。『だれでもいつかは車椅子が必要になるのですよ』」
乗客が全員降ろされた後、ベレは運転手に促されてバスに乗車し、ベレとつきそいの人は、貸切となったバスで出発しました。
ベレによってフェイスブックに投稿されたこの出来事が、ツイッターで共有され、拡散して14,000の「いいね」を獲得しました。運転手は世界中のソーシャルメディアで称賛され、中には、マクロン大統領に運転手を表彰するよう求める人もいました。
「バスを空にした運転手さん、おめでとう! 降ろされた乗客たちも、理解できたと思うよ」 「すばらしい行いですね」 ソーシャルメディアにはこんな声があふれています。
パリ交通営団が話題の運転手を探しており、所在が判明した際には、解雇にならないとのことです。全乗客をバスから降ろしてしまったとはいえ、彼の行為は、「正義感から乗客のために行ったこと」だからです。
この話は、車椅子の人にはいつでも場所を空けるということを、あらためて私たちに教えてくれます。「だれでもいつかは助けが必要になる」 今一度、考えてみませんか。
(大紀元日本ウェブ編集部)
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