仏政府 SHEINのオンライン事業を停止へ 児童ポルノ疑惑で捜査

2025/11/06 更新: 2025/11/06

中国のファストファッション大手SHEIN(シーイン)は、11月5日にパリで初となる実店舗を、同市で最も有名な百貨店の一つにオープンした。しかし同日に、フランス政府は同社のオンラインプラットフォームのサービスを一時停止する手続きを開始したと発表した。SHEINが自社サイトの内容がフランスの法律に適合していることを証明するまで、停止措置は続く見通しだ。

この決定はフランス財務省が発表したもので、パリ中心部で行われたSHEIN実店舗の華々しい開業に影を落とした。同時に、フランス当局によるSHEINへの監視と規制が新たな段階に入ったことを示している。

 発端は「児童に似たラブドール」問題

フランス政府がこの手続きに踏み切った直接のきっかけは、11月2日にSHEINのサイト上で、児童に酷似したラブドールが販売されているのが確認されたことだった。この件は国内で強い反発を招いた。

財務省は、「首相の指示に基づき、政府はSHEINのサービス停止手続きを開始した。プラットフォーム側は、掲載しているすべての内容がフランスの法律や規制に準拠していることを証明する必要がある」と説明している。

SHEINの広報担当者は、「当局との緊急協議を求めている」と述べた。SHEIN側はすでに問題となった商品を削除し、関連業者を処分したと説明。また、フランス国内でのマーケットプレイス機能を一時停止しているという。

パリ初の実店舗開業 熱狂と抗議が交錯

AP通信によると、SHEINの新店舗はパリ・マレ地区の老舗百貨店BHVマレ内にあり、売り場面積は約1千平方メートル。開業当日、店内外では対照的な光景が広がった。

多くの来店客が数時間にわたって列を作り、店内に入るために並んだ。
一方、店の外では数十人の抗議者がプラカードを掲げ、「超高速ファッション」モデルによる環境破壊、劣悪な労働環境、そして過剰生産による浪費を非難。開業イベントが一時中断する場面もあった。

SHEINは2012年に中国で創業し、中国製の衣料品や雑貨を低価格で販売している。同社のサプライチェーンには強制労働が関与しているとの指摘もあり、特に新疆ウイグル自治区における人権侵害との関連が問題視されている。人権団体は「中国共産党政府は同地域でウイグル人をはじめとするイスラム系少数民族に対し深刻な人権侵害を行っている」と非難している。

SHEINのパリ初店舗開業に反対するオンライン署名には、すでに12万人以上が賛同している。

フランス政府の強硬姿勢 「超高速ファッション」への規制強化へ

ロイター通信によると、SHEINがフランスのファッション史を象徴するエリアに出店したことに対し、パリのアンヌ・イダルゴ市長をはじめ、多方面から強い批判が上がっている。批判者らは、SHEINのビジネスモデルが不公正な競争を助長し、国内産業を脅かしていると指摘。

フランス政府は現在、SHEINやTemu(テム )、AliExpress(アリエク)など「超高速ファッション」企業の影響力を抑制するための法整備を進めている。新たに提案されている法案では、こうした企業による広告の禁止も検討されており、1日に1千点以上の新商品を投入するプラットフォームを主な対象としている。

法案を推進する議員は、「フランスの繊維産業を象徴する歴史的建築物にSHEINが出店することは、到底受け入れられない挑発だ」と強い言葉で批判した。

 

李言
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