サウジ皇太子、イメージ回復目論む 記者殺害から1年で国連幹部

[ジュネーブ 1日 ロイター] – サウジアラビア人記者カショギ氏殺害事件から2日で1年を迎えるのを前に、国連のアニエス・カラマール特別報告者がロイターとのインタビューに応じ、事件への関与が疑われるサウジのムハンマド皇太子について、自身に対するイメージダウンの「回復」をもくろんでいると批判した。

カラマール氏は今年6月、ムハンマド皇太子らが事件に関与したことを示す「信頼できる証拠」があるとした上で、皇太子やサウジ高官を捜査すべきという見解を示している。

ムハンマド皇太子は29日に放送された米CBS番組「60ミニッツ」の中で事件について、サウジの実質的な指導者として事件に対する「完全な責任」があると認めたものの、殺害の指示はしていないと改めて主張した。サウジ当局による殺害行為を把握していないことなどあり得るだろうかという質問については、政府機関で働く職員は300万人もおり、それぞれの日々の行動を把握することなど不可能だと反論した。

カラマール氏は「皇太子が事件と距離を置くことで犯罪の直接責任から逃れようとしている。事件との間に何重にも人や機関を置いて、自分を殺害の責任から守ろうとしている」と指摘。皇太子は「世論の怒りに対する(自身のイメージの)修復戦略」を図っていると語った。

また、皇太子が国の責任を認めているということは、少なくとも事件が国家による殺人であったことを暗に認めていると解釈できるとし、「事件が皇太子の監督下で発生しているという点で、彼は国を代表している。実際、彼は国のトップも同然だ」とした。

カラマール氏は、各国が事件に対して適切に対応しなければ、自ら批判の声を上げる人々を殺害しても何ら刑罰を問われないといった風潮を招きかねないとして危機感を示した。

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