米軍、シリア北部から撤収へ シリアはトルコ国境に進軍

[ワシントン/ベイルート 13日 ロイター] – エスパー米国防長官は13日、シリア北部に残る駐留米軍およそ1000人を撤収させると明らかにした。トルコは同地域で攻撃を拡大しており、クルド人勢力は13日、トルコへの反撃を支援するためシリアがトルコ国境沿いに軍を展開することで合意したと明らかにした。

エスパー長官はCBSのインタビューで、「この24時間で、トルコが当初の計画よりさらに南と西に攻撃を拡大する意向である可能性が高いことが分かった」と述べた。

また、クルド人主体の武装勢力「シリア民主軍(SDF)」がトルコに対抗するためロシアおよびシリアと取引しようとしていることも分かったとした。

長官は、こうした状況のなか米軍の安全確保が難しくなったとし、トランプ大統領が12日夜、シリア北部からの米軍の計画的な撤収を開始するよう指示したことを明らかにした。

米当局者2人はロイターに対し、トルコによる攻撃が拡大していることを受け、数日中にも大半が撤収する見通しだと明らかにした。

トランプ米大統領は前週、シリア北部の2拠点から特殊部隊50人を撤退させることを決定。トルコによるクルド人勢力への攻撃につながったとみられている。

トルコのエルドアン大統領は13日、トルコ軍はラスアルアインの街を制圧済みで、シリア国境沿いにさらに攻撃を拡大すると表明した。

 

エスパー長官の発言の数時間後、クルド人勢力は、トルコへの反撃を支援するためシリア政府軍がトルコ国境沿いに展開することで合意したと明らかにした。

シリア国営メディアは、シリア領土における「トルコの攻撃」に対抗するため政府軍が北部の戦闘地域に進軍を開始したと報じた。

シリア北部からの米軍撤収とトルコ国境へのシリア政府軍の進軍は、シリアにおける米国の影響力低下を浮き彫りにし、シリアのアサド大統領や同政権を支持するロシアとイランにとって勝利と言える。

トリコ国境沿いでシリア政府軍がトルコ軍と直接衝突すれば、対立が拡大する恐れがある。

 

クルド人勢力によると、トルコによる13日の爆撃を受け、シリア北部で拘束されていた過激派組織「イスラム国」(IS)戦闘員ら約785人の外国人が逃亡した。

エルドアン大統領はこうした報道を否定し、国営アナドル通信に対し、IS戦闘員の逃走に関する報道は西側諸国の関心を引くための「偽情報」だと述べた。

 

ムニューシン米財務長官は11日、トランプ大統領がトルコに対する「非常に重大な」制裁を新たに科す権限を米当局に与えたことを明らかにした。[nL3N26W3KB]

ドイツとフランスはトルコ向け武器輸出を停止した。

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