FRB当局者、米中部分合意後も不透明感指摘 分かれる政策判断

[ロサンゼルス 15日 ロイター] – 連邦公開市場委員会(FOMC)が2週間後に迫るなか、米連邦準備理事会(FRB)の当局者らは米中通商交渉の部分合意が、景気の重しとなっている政策の先行き不透明感を払拭するには、十分ではないと認識しているようだ。

しかし、失業率が歴史的な低水準にあり、消費支出が堅調なため、FRBの当局者が一致して追加利下げの必要性を訴えるという状況からは、かなり距離がある。このような状況が15日の当局者の発言で明らかになった。

米サンフランシスコ地区連銀のデイリー総裁は、ロサンゼルスでの講演後、記者団に対し「現時点で、経済は良好だ。金融緩和措置は適切だ」と指摘。

また、経済への向かい風は「英国の欧州連合(EU)離脱や米中通商協議を巡る一定の進展で、勢いがやや弱まっているようだ」が、これらの問題が完全に解決されるまで企業は引き続き、強い先行き不透明感に直面していると語った。

この日発表された指標で、米消費者の3年先の期待インフレ率が調査開始以来、最低水準となったことも含め、低インフレに注目していると述べた。

ただ、インフレ率がFRBの目標である2%に戻ると引き続き見込んでおり、7月と9月の利下げが、米史上最長の景気拡大の継続を後押しするとの見通しを示した。

「政策の見通しについては、今後の指標を見極めたい。経済は現時点で非常に良好だからだ」と語った。

一方、ロンドンで講演したセントルイス地区連銀のブラード総裁は、悲観的な見方を表明した。デイリー総裁と同様に「貿易体制を巡る不透明感」が米経済への主要なリスクとの認識を示した上で、低インフレの継続や世界経済の減速などのリスクも、なお高いと指摘。

デイリー氏が現行政策は「若干緩和的」と述べたのに対し、ブラード総裁は「過度な引き締め」の可能性があると捉えていると語った。

その上で、FRBは「今後、さらなる緩和措置を選択する可能性があるが、会合ごとに判断を下すことになる」と語った。

FRB内は、パウエル議長のように先行きについて総じて良好と考える向きと、景気後退(リセッション)を回避するには、一段の緩和が必要と考える向きとの2つのグループに分かれており、デイリー氏は前者、ブラード氏は後者に当たる。

もう1つのグループは、FRBが既にやや行き過ぎた利下げを行っており、過度に緩和的な政策が投資家の過剰なリスクテイクや資産価格の膨張につながった場合、金融の不安定化を招くと懸念している。

10月29─30日のFOMCについては、市場参加者は概して、利下げを予想している。

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