香港、103万人が元旦抗議運動に参加
香港では6カ月に渡り、民主主義的な抗議行動が続いている。年が変わった元旦にも、大勢の人々が中心部のビクトリア公園に集まり、デモ行進を行った。主催者発表で103万人が参加した。
警察認可の元旦デモには、白髪の中高年から幼い子どもを持つ家族を含む、あらゆる層の人々が加わった。「私たちは当初の目的を見失うことなく、手を取り合い歩まなければならない(毋忘承諾 並肩同行)」と、元旦デモ主催者の香港民主派団体の民間人権陣線代表の岑子傑(ジミー・シャム)氏は、公園でマイクを手にして、元旦デモのスローガンを群衆に語った。
岑氏は、香港政府が医療措置やデモ活動のためのクラウドファンディングの資金を凍結し、教師や公務員も取り締まっていると批判した。
「この問題は私たち全員に関わるものだ。私たちは戦いをあきらめず、抑圧されている人々のことを忘れない」「私たちは手を取り合い5大要求を訴え続けよう」と彼は呼び掛けた。
参加者は香港抗議運動を象徴する歌で非公式国歌とも呼ばれている「香港に栄光あれ(願榮光歸香港)」を歌い、運動の5つの要求を示すために手をかざすと、ビジネス地区の方向へと移動した。
行進の列は、ますます参加者が増えていった。「抑圧を恐れず、一緒に歩もう」と参加者たちはスローガンを叫んだ。
リーと名乗る一人の参加者は、警察が平和的な抗議者に暴力的鎮圧を行っているとの強い批判の中で、林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は独立した監督を行っていないとして、抗議のために行進に加わったと述べた。
「林鄭長官は、抗議者が混乱と破壊を引き起こしていると主張しているが、ニュースから判断すると、実際は警察が混乱と破壊を引き起こしている」とリーさんは語った。「警察は行き過ぎた暴力を使って、催涙ガスを発射している」
リーさんは、多数の「自殺者」についても語った。香港では、半年の抗議期間のなかで、自殺か他殺かの判断もせず、調査の十分でない遺体が「自殺」として処理されている。「当局は、自殺と断定するが、香港市民はこれを信じていない」
抗議の行進が街を通り抜け、高速道路のいくつかの車線を占拠した。警察はこれらの行為を確認すると、デモ隊を早期解散させるための行動に出た。
現場からの生中継とソーシャルメディアの投稿によると、警察機動隊は何百人もの人々を逮捕し、数十台の警察車両に乗せた。NowTVは、銅鑼湾(コーズウェイベイ)のショッピング街だけで、約400人が逮捕されたと報じた。
デモ参加者は、湾仔(ワンチャイ)にある北京拠点の保険会社・中国人寿保険のビルのガラスドアを破壊した抗議者が、実際の抗議デモ参加者かどうかを疑っている。6カ月間のデモ活動のなかでも、抗議者に扮した警官、ならず者が、交通信号機や店舗の破壊など、デモ隊に濡れ衣を着せるための暴力行為を行っているとのうわさが絶えない。
午後4時頃、湾仔で、デモ隊と警察機動隊の衝突があった。抗議者がドアや窓を壊し、現金自動預払機(ATM)を破壊した。機動隊は唐辛子スプレーを吹き付け、群衆に催涙ガスを発射した。最前線の抗議者は、火炎瓶やレンガを警察の隊列に投げ込んだ。警察は、デモ隊を午後5時に強制解散させた。
警察の行き過ぎた暴力を批判する国際声明
2019年末、民主主義を重んじる元政府高官や検事総長らは、クリスマス期間中の警察の残虐行為に対する「重大な懸念」を表明するため、林鄭長官に公開書簡を送付した。
書簡に署名したのは、スロボダン・ミロシェビッチ前検事のジェフリー・ニース卿、連邦議会議員のマーティン・パツェルト氏、カナダのオンタリオ州のボブ・レイ元首相、ジョン・バーコウ元下院議長など数十人。
人権団体香港観察(Hong Kong Watch)のサイトに掲載されたこの手紙には書かれている。「クリスマスやボクシングデー、12月28日土曜日に、買い物客、平和的な抗議者、無実の人々に近距離で催涙ガス、唐辛子スプレー、ゴム弾を発射する警察の報復を見て、恐ろしいことだと考える」
「私たちは、子どもや若者がひどく殴打されたり、ゴム弾が人の顔に発射されたりしているのを確認している。専門家でなくても、誰もがケガや死に至る重大なリスクを見ている」と述べた。また、警察官による報道機関への暴行や、拘禁中の拷問、殴打、性的虐待などの報復には「非常に憂慮している」とした。
書簡はまた、デモ現場で医師、看護師、救急隊員が逮捕され、虐待されていること、警察機動隊が病棟を巡回し、医師の診察に同行したり、医療記録へのアクセスを要求したりすること、病院の手術室への立ち入りを求め、救急車を使って秘密裏に機動隊を輸送することなどを非難している。
書簡は、香港当局に「抗議者たちの要求に耳を傾けて欲しい」と述べ、警察による暴力についての当局から独立した調査、すべての平和的な抗議者の釈放、民主的な改革を検討することを求めている。
(翻訳編集・佐渡道世)