東南アジア諸国、中国の影響力増に警戒感=調査
シンガポールのシンクタンクISEASユソフ・イサーク(Yusof Ishak)研究所が1月16日に発表した調査によると、東南アジアでは中国の影響力の高まりに警戒感が広がり、特にベトナムとフィリピンの人々は強い不信感を抱いていることが分かった。
同調査は1300人以上の研究者、東南アジア諸国の専門家、公務員を対象にした。
回答者の80%近くが、中国がこの地域で最も影響力のある経済大国であると答え、昨年から7ポイント増加した。米国だと答えた人は8%で、前年と変わらなかった。
回答者の約52%は、中国がこの地域で最も重要な政治経済地域であると考えており、米国だと答えた人の割合は31%で、昨年から4ポイント減少した。
回答者の75%以上が、トランプ大統領の政権はオバマ政権と比較して、東南アジアにおけるプレゼンスは減少したと述べた。
「影響力ある経済大国」だが「信頼できない国」
いっぽう、中国の地域的影響力は増加しているが、回答者の60%は中国を信頼していないと回答し、昨年から8ポイント増加した。また、回答者の40%近くが、中国は「修正主義の大国」であるとし、東南アジアを影響範囲に収めようとしている」と考えている。
回答者の中で、中国を、最も影響力のある経済大国で、最も重要な政治的および戦略的大国とみなしている人の大半が、中国の影響力の増大について懸念を示した。
南シナ海において、中国との深刻な主権紛争を抱えているベトナムとフィリピンの回答者は、他の東南アジア諸国よりも、強い中国への不信感を表明した。
調査のインタビュー対象者は、中国の新疆ウイグル自治区におけるイスラム教徒の人権弾圧、香港の民主的抗議に対する暴力的な鎮圧についても、懸念していることがわかった。
ユソフ・イサーク研究所の東南アジア諸国連合(ASEAN)研究センター所長タン・ショウムン氏は、「この地域における中国の増大する影響への懸念は、中国がその巨大な影響を不明確に利用しようとしているためだ」とコメントした。
「南シナ海地域では、貿易問題を『武器化』する中国共産党政権の傾向によって、中国の台頭を平和的に受け止められていない」とタン氏はみている。
(翻訳編集・佐渡道世)