【紀元曙光】2020年1月15日

成人の日は1月第2日曜であるが、1999年までは1月15日であった。この日は小正月に当たり、本来ならば旧暦の1月15日がその日だった。

▼明治6年に新暦になってからも、「旧暦と同日」という概念が残り、あまり新旧の別を意識していないのは、日本史の不思議な現象の一つであろう。忠臣蔵の12月14日は吉良邸討ち入りの日であるが、もちろんこれは旧暦のその日である。

▼今の日本人は、すべて新暦に規準を置いてしまうから、東京高輪の泉岳寺で行われる赤穂義士祭は、毎年12月14日に行われる。年中行事といっても、伝統に基づくものではなく、娯楽や観光が主たるイベントなので新暦のほうがやりやすい。

▼日本人も昔は旧暦を併用していたし、もっと昔ならば旧暦が主で、ほかに数種類の和暦が生活のなかにあった。それは伊勢暦(いせごよみ)に代表されるように、農業を主とする当時の生活に役立つような情報、例えば吉凶や農事のかかり始めを知らせるような、生活年鑑の役割を果たしていた。

▼1月15日の小正月には、その年が豊穣であるようにとの願いから、予祝(よしゅく)として、切りとった小枝に餅花や繭玉をつけて屋内に飾った。併せて、この日に男子の元服の儀をとりおこなったことから、今日の成人式へとつながることになる。

▼主に中華圏の国だが、東アジアの一部の国(中国、ベトナム、台湾など)では、まだ旧暦(農暦)を併用している。今年の旧正月は1月25日。多くの外国人が日本を訪れるようになった今日、日本人も昔のカレンダーに興味をもって良いように思う。

▶ 続きを読む
関連記事
泥から名器へと生まれ変わる宋代磁器の製作過程を通して、人生の試練の意味を紐解く随想文。過酷な窯の烈火をくぐり抜けてこそ本物の輝きと気骨が宿るように、逆境こそが人を美しく磨き上げるのだと静かに語りかけます
目のトレーニングで視力は改善する? 特殊なレンズや点眼薬、目の運動など、視力を守るための新しい選択肢と、その効果を紹介します
一般的なアミノ酸サプリメントが膵臓がん治療の助けになる? 患者16人の初期試験で見えた生存期間と腸内環境の意外な関係を紹介します
宇宙はビッグバンから始まったのか。1600人超の物理学者への調査で見えてきた、宇宙の起源や暗黒物質をめぐる未解決の謎を紹介します
免疫は強さだけでなく、炎症を落ち着かせる力も大切。健やかな加齢を支える「オフスイッチ」の仕組みと、睡眠・食事・運動の役割を紹介します