医学誌「ランセット」が1月29日に掲載した中国研究者の報告書によると、新型コロナウイルス初期の感染者の死亡率は11%だった。写真は1月26日、保護ゴーグルとマスクを付ける香港空港職員(GettyImages)

<新型コロナウイルス>初期の感染者、死亡率は11% 中国研究者が医学誌に報告

新型コロナウイルスが昨年12月から中国湖北省武漢に広がり、現在、世界十数カ国以上に感染者が出ている。医学誌「ランセット(Lancet)」1月29日付けの研究報告によると、このウイルスによる初期の感染者の死亡率は11%だった。

「ランセット」は、武漢市や上海、中国国立ウイルス研究所などからの複数の中国学者による調査報告書「2019年新型コロナウイルス肺炎の99例の疫学的および臨床的特徴(Epidemiological and clinical characteristics of 99 cases of 2019 novel coronavirus pneumonia in Wuhan, China: a descriptive study)」を掲載した。

この報告書は、2020年1月1~20日に、武漢の金銀潭病院に移された新型コロナウイルスに感染した99人の患者の臨床症状を分析した。

99の症例のうち、17人が呼吸不全の一種である急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を発症し、11人が多臓器不全で死亡した。死亡率は11%になる。2020年1月25日現在、57人が入院中で、31人が退院した。

調査と分析の結果によると、新型コロナウイルスの患者99人のうち、49人が華南海鮮市場を訪れていた。患者の年齢は21~82歳で、40歳未満は10人、40〜49歳は22人、50〜59歳は30人、60〜69歳は22人、70歳以上は15人。

99人の患者のうち、50人に慢性疾患(一部は複数の慢性疾患)があり、心血管および脳血管疾患が最も多く、40人だった。消化器疾患は11人と次に多い。

臨床症状で最も多かったのは発熱と咳で、8割以上に症状がみられた。エックス線検査では、74人の患者が両肺に肺炎を患っていた。

1月29日、世界保健機関WHO)のテドロス事務局長は記者会見で、30日に緊急委員会を再招集し、新型コロナウイルスの流行を、国際公衆衛生の緊急事案とするかどうかを判断するとした。

(呉英/翻訳編集・佐渡道世)

関連記事
「孔子学院?新華社?こんなものはもう退屈だろう。中国が本当に世界的なソフトパワー拡大には、モバイルゲームに焦点を当てるべきだ」中国国内メディアは最近、100億米ドル規模に達している中国ゲームの影響力の高まりに自信を見せている。当局は、ゲームコンテンツを通じて中国文化の浸透工作や、親共産主義人物の人気獲得を促進したりしている。
日本料理の「五味五色」が生む健康の秘密。陰陽五行に基づく養生観が、日本人の長寿とバランスの取れた食文化を支えています。
2023年5月25日に掲載した記事を再掲載 若者を中心に検挙者数が急増する「大麻」(マリファナ)。近日、カナダ […]
中国共産党が7月に反スパイ法を改正し、邦人の拘束が相次ぐなか、外務省が発表する渡航危険レベルは「ゼロ」のままだ。外交関係者は邦人の安全をどのように見ているのか。長年中国に携わってきたベテランの元外交官から話を伺った。
日中戦争の勝利は中華民国の歴史的功績であるが、これは連合国の支援を受けた辛勝であった。中華民国は単独で日本に勝利したのではなく、第二次世界大戦における連合国の一員として戦ったのである。このため、ソ連は中国で大きな利益を得、中共を支援して成長させた。これが1949年の中共建国の基礎となった。