「ライフラインの操縦かん握られている」比電力会社の株、40%を中国企業が保有 議員が追及
国会会期中のフィリピンでは、中国国営企業が40%の株を所有する、大手電力システム会社のフィリピン送電公社(NGCP)の安全保障問題が取り上げられた。議員は、外国企業がライフラインの「操縦かん」を握ることに危機感を抱いている。
NGCPアンソニー・アルメダ(Anthony Almeda)社長はエネルギー関係の上院委員会公聴会に出席し、サイバー攻撃が「数週間で数百回ある」「年に22回の深刻なダメージを受けている」と明らかにした。
2008年以来、中国の国営会社が、フィリピン送電公社の40%の株式を獲得した。2001年の電力産業改革法の下、NGCPには海外企業を含む投資が許可された。NGCPへのサイバー攻撃の報告は、外国勢力によるセキュリティ問題の懸念を引き起こした。
議員は、この国営送電公社と中国企業の関係が、中国との有事の場合、送電が停止される可能性があると疑い、株式所有の見直しを提起している。
リサ・ホンティベロス(Risa Hontiveros)上院議員は、中国は選挙など政治的関心が高まる時期に、送電網を停止する恐れがあると警告した。議員は、2016年にウクライナが深刻なサイバー攻撃を受けた例を挙げ、電力会社のセキュリティの重要性を強調した。また、NGCPへのサイバー攻撃は、ロシア、イラン、中国の3カ国が仕掛けた疑いがあると述べた。
米国は依然として防衛と貿易のパートナーであるが、ロドリゴ・ドゥテルテ(Rodrigo Duterte)大統領政権は、米と距離を置き、中国に接近しつつある。
ホンティベロス議員は2019年、NGCPを調査する動議を提出した。「中国企業は、中国の国内法に従い情報を収集し、中国政府に報告している」「紛争の際、中国は電力網を閉鎖するかもしれない。もし有事となれば、中国企業がどちらを選ぶのか、容易に想像できるだろう」と上院議員は2月2日の委員会で述べた。
議員によれば、2009年以降、NGCPは外部監査を受けていない。公益事業を請け負う企業は、政府機関の業務検査を禁止しているという。
政府の国家安全保障顧問ヘルモゲネス・エスペロンJr(Hermogenes Esperon Jr)氏は、突然の停電という議員の懸念を払しょくしようとしている。「エネルギー部門が脆弱性や外国からの支配を受けないことを保証する」「パニックにならないように」と述べた。
国軍の元参謀長であるエスペロンJr氏は、同国の電力網保護のために「外国の干渉と工作を防止し、安全を確保するために、サイバーセキュリティ・チームを結成した」と述べた。
NGCPの調査に参加したリチャード・ゴードン(Richard Gordon)上院議員は、委員会で、NGCPに中国籍幹部がいることについて言及した。また議員は、中国側の技術者による停電の操作は可能だと述べた。外国籍幹部が、数千万人のライフラインとなる送電線の操縦かんを握ることは、好ましくないと指摘した。
駐フィリピン中国大使館(マニラ)は、この委員会の追及について、コメントを出していない。
(翻訳編集・佐渡道世)