新型ウイルス、中国の感染者増加 G20の主要議題に

[北京 21日 ロイター] – 中国国家衛生健康委員会は21日、中国本土の新型コロナウイルスの新たな感染者が20日は889人だったと明らかにした。19日の394人から増加した。感染者は累計7万5465人となった。

中国本土でのこれまでの死者は20日時点で2236人となり、前日から118人増えた。

湖北省では20日の新たな死者が115人、省都の武漢市では99人となった。

ただ、世界保健機関(WHO)は20日、中国本土で新型ウイルスの新たな感染の伸びが最近鈍化していることは心強いと指摘。その一方で、この状況が今後も継続するとの判断は時期尚早との認識を示した。

日銀の黒田東彦総裁は21日、新型ウイルスの影響が世界経済全体に波及する可能性が高いとの認識を示し、週末の20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議での最大の議題はウイルスの世界経済への影響となる可能性があるとの見方を示した。

日本とシンガポールは景気後退に陥れるおそれが出ている。韓国の税関統計によると、2月1─20日の中国への輸出は、前年同期比3.7%減少。新型ウイルスの感染拡大によってサプライチェーンが混乱し、世界的に需要が打撃を受けているため、対中輸出は今後数カ月でさらに減少する可能性がある。

WHOのテドロス事務局長によると、これまでに中国以外の25カ国で1076人の感染がWHOに報告されている。同事務局長は、中国以外での感染者数がなお少ないと指摘しつつも、「この状況が長く続くとは限らない」と慎重な姿勢を崩さなかった。

聯合ニュースが21日、保健当局の情報として伝えたところによると、韓国では新型ウイルスの感染者が新たに52人確認され、累計では156人となった。

同国では20日、新型ウイルスで初の死者が出た。当局によると、大邱市にある教会で集団感染が発生。同市は韓国第4の都市だが、住民は外出を控えており、ショッピングモールや映画館に人影はない。

ある住人はロイターに「まるで誰かが街の真ん中に爆弾が落としたようだ。ゾンビがうろつくこの世の終わりようだ」と電話で語った。

一方、イラン学生通信(ISNA)によると、新型ウイルスで今週2人の死者が出たイラン中部コムでは、保健当局がすべての宗教集会を中止するよう呼び掛けた。コムではさらに2人から陽性反応が出た。

オーストラリアの保健当局は21日、クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」から下船し、帰国した同国人2人から新型ウイルスの陽性反応が出たことを明らかにした。帰国者は隔離されており、2人は入院するという。

新型ウイルスの感染拡大を背景に、20日の米国株は下落。金価格は7年ぶりの高値に上昇した。新型ウイルスは企業業績にも影を落としており、メーカーは中国企業に代わる取引先の確保を急いでいる。

中国商務省は、新型ウイルスに関連した企業支援に向け、新たな財政・税制・金融・保険措置の研究を加速すると表明した。

NABのシニア為替ストラテジスト、ロドリゴ・カトリル氏は「円も含め、アジア通貨は急落している。(円については)通常の安全な逃避先としての需要よりも景気後退懸念のほうが勝っている」と述べた。

<むき出しの差別>

日本の厚生労働省は20日、「ダイヤモンド・プリンセス」に乗船していた80代の男性と女性が1人ずつ死亡したと発表した。いずれも日本国籍。

中国の環球時報によると、北京では20日時点で36人の新たな感染が1つの病院で確認された。2週間前の9人が急増しており、「多くの人が北京で感染者が爆発的に増えるのではないかと懸念している」という。

ウクライナでは、湖北省からの退避者の隔離先となる町で、住民がタイヤを燃やしたり、退避者の乗ったバスに物を投げつけるなどしたため警察が出動。住民と衝突する事態となった。

米国でも、中国から帰国し自宅で検疫期間を終えた米国人が、付近の住民から警察に通報されるなど、差別行為に直面している。

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