豪中銀の声明全文

[シドニー 3日 ロイター] – オーストラリア準備銀行(RBA、中央銀行)が3日の政策理事会後に発表した声明は以下の通り。

理事会は本日の会合で、キャッシュレートを25ベーシスポイント(bp)引き下げ0.50%にすることを決定した。理事会はコロナウイルスの世界的な感染拡大に対応する中、景気を支えるため今回の決定を下した。

コロナウイルスにより、世界経済の短期的な見通しが不透明になっており、2020年上半期の世界の経済成長は従来予測を下回る見通しだ。感染拡大の前は、2018年に始まった世界の成長鈍化が、終わろうとしている兆候があった。コロナウイルスの影響がどの程度続くのか、またいつの時点で世界経済が回復軌道に戻るのかを判断するのは時期尚早だ。中国など複数の国で政策措置が発表されており、これが成長支援に寄与するだろう。ほぼ全ての地域で低インフレが続いており、多くの国で失業率は数十年ぶりの低水準にある。

オーストラリアを含め多くの国で、長期国債利回りが記録的な低水準に低下している。豪ドルも最近一段と下落が進み、長年にわたる期間の最安値となっている。米国を含め、大半の経済では、今後数カ月で追加の金融緩和があるとの見方が浮上している。市場参加者がコロナウイルス関連のリスクを評価する中、金融市場は不安定な状態となっている。オーストラリアの金融市場は効果的に機能しており、RBAは国内金融システムが確実に十分な流動性を確保できるようにする。

海外でのコロナウイルスの感染拡大は現在、教育・旅行セクターなど、オーストラリア経済にかなりの影響を及ぼしている。コロナウイルスが生み出す不透明感は、国内消費にも悪影響を及ぼす公算が大きい。そのため、1─3月の国内総生産(GDP)伸び率は、従来予測を大幅に下回る公算が大きい。状況が変化していることを踏まえると、影響がどの程度の規模になり、どの程度続くのかを予測するは困難だ。コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかかれば、オーストラリア経済は改善傾向に戻る見通しだ。こうした見通しを支える要因としては、低金利、高水準のインフラ支出、為替レートの下落、資源セクターの明るい見通し、住宅建設と家計消費の回復見通しが挙げられる。オーストラリア政府もコロナウイルスで特に影響を受ける経済分野を支援する方針を示している。

失業率は1月には5.3%に上昇し、昨年4月以降5.25%付近で推移している。賃金の伸びは抑制されており、当面は上向かないとみられる。賃金の伸びが緩やかな上昇すれば、歓迎すべき動きであり、インフレ率を2─3%の目標範囲内に持続的に維持するために必要なことだ。

中古住宅市場は回復の兆しがさらに出ている。大半の市場で価格が上昇しており、一部のケースでは大幅に値上がりしている。投資家の信用需要は依然として低迷しているものの、住宅ローンの契約は増加している。住宅ローン金利は記録的な低水準にあり、信用度の高い借り手の獲得競争が激しい。中小企業の信用環境は依然として厳しい。

コロナウイルスの世界的な感染拡大で、完全雇用とインフレ目標に向けたオーストラリアの進展に遅れが出る見通しだ。このため、理事会は金融政策を一段と緩和し、雇用と経済活動を追加で支援することが適切だと判断した。理事会は引き続き入念に状況を監視し、コロナウイルスが経済に及ぼす影響を判断する。理事会はオーストラリア経済を支えるため、金融政策を一層緩和する用意がある。

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