欧州、医薬品不足が深刻化する恐れ 新型ウイルスで供給遅延

[ブリュッセル 5日 ロイター] – 新型コロナウイルス感染拡大の影響により欧州諸国で医薬品や医療マスクなどの供給に遅れが生じ、欧州における医薬品不足の状況が悪化する可能性があると、欧州連合(EU)や医薬品業界関係者が明らかにした。

欧州医薬品庁(EMA)はロイターに対し、新型ウイルス流行によって中国での医薬品有効成分の生産能力が影響を被り、安定的な供給が脅かされていると指摘。「世界的な医薬品の不足につながる恐れがある」と述べた。

世界各国は医薬品有効成分で中国に大きく依存しており、フランスでは医薬品成分の約40%を中国から輸入している。

さらに、後発医薬品の主要輸出国であるインドが一部薬品の輸出を制限したことを受けて、欧州での懸念は深まっており、欧州委員会の高官は、EUがアジアからの医薬品出荷遅延を巡る状況を精査していると明らかにした。

医薬品業界団体の調査からは、EU加盟24カ国が昨年末時点ですでに医薬品不足に直面していたことが明らかになっている。

とりわけ、ほぼ全ての加盟国で呼吸器系医薬品の供給が十分でなく、EUの新型ウイルス大規模感染への対応能力が不安視される。

また、新型ウイルスの流行が深刻なイタリアを中心にマスクや個人防護用品への需要が急増しており、EU域内で品薄の状況になりつつあると、EU高官は警告している。

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