どうして可能?オンデマンド移植 法輪功らは中国臓器ビジネスの調達先=人権団体報告
中国の臓器移植市場で調達されている臓器は、法輪功学習者やウイグル族といった良心の囚人からのものである可能性が高いと、人権団体が新たに報告した。
共産主義犠牲者記念基金(VCMF)3月12日の報告書によると、法輪功学習者やウイグル人らは拘留期間中、定期的な血液検査や健康診断を受ける。これは、移植手術までの待機時間をわずか数日にまで短縮するためであり、中国臓器移植ビジネスの「驚異的な成長」の証拠の1つと指摘した。
報告は、良心の囚人から臓器を摘出しているという見方のほかに、説明または仮説と矛盾する信頼度の高いデータが現れるまで、これを最も「妥当な見方とするべき」とした。
VCMFは、2000年以降の中国の臓器移植システムの急成長を示す、300以上の病院からの800以上の情報源をまとめた。このなかには、医療レポート、内部の演説原稿、中国共産党から病院への通達、指南書、ウェブサイト掲載情報などが含まれる。
報告書によると、中国は2000~04年にかけて、移植手術を行う病院の数が3倍以上に増えた。その結果、腎臓移植では510%、肝臓移植では1820%、心臓移植では1100%、肺移植では2450%の移植件数に増加した。
報告書によると、中国衛生部は当初、毎年、何万件もの手術を可能にする「豊富な提供臓器」は、市民の「自発的なドナー」と主張していた。しかし、実際の臓器提供希望者はごくわずかで、移植手術件数と臓器提供数は一致しないことが明らかになった。
2005年、衛生部は臓器は死刑囚から提供されたものだと説明するようになった。しかし、VCMFによれば、2000年以降の死刑執行の数を最大値で推計したとしても、移植件数は死刑囚の死体の数の数倍は必要だと指摘した。中国政府は、実際の死刑執行数を公表していないため、人権団体からの推計に基づいている。
「死刑囚が移植臓器の出所ではないならば、調達された臓器は、良心の囚人からのものであるとの説明が最も妥当だ」とVCMFは指摘した。
VCMFは、1999年7月に始まった、中国共産党江沢民政権による法輪功弾圧の開始時期に注目した。全国で大量に拘束された法輪功学習者は、血液検査と身体検査を定期的に受けている。迫害開始から6カ月後、臓器移植ビジネスの急速な成長が始まった。
中国は良心の囚人を移植用臓器の出所としていると国際社会で懸念の声が高まると、政府は2015年、自発的なドナーからのみ臓器を調達していると改めて主張した。VCMFはこれ以降、移植件数が下方修正され、実際のデータは偽装されていると指摘している。
VCMFは、いまだに移植手術が大規模に行われ、移植用臓器が「オンデマンド」で提供されるという事態が続いていることから、臓器源は法輪功学習者のみならず、複数あると推測できるとした。
2017年4月以降、中国北西部の新疆ウイグル自治区当局は、180万人ものウイグル人などを集中管理キャンプに拘留した。ここでは、血液検査、DNA採取、鉄道で大勢を中国各都市に送致しているといった目撃情報がある。
「大規模な収容、中国の病院で続く非常に短期間での移植臓器の入手、拘留期間での血液や身体検査という(法輪功学習者との)一致は、ウイグル人に対しても臓器の搾取があると容易に説明できる」とした。
VCMFは、中国移植医療に海外機関がアクセスすることが制限されている以上、「中国当局のみが、疑惑を証明する立場にある」としている。また中国当局はこの臓器移植ビジネスの疑惑を払しょくするために、海外の医療専門家を買収して、プロパガンダとして利用したり、移植データを捏造して公表したりしている。このため、国内外の移植希望患者のための「オンデマンド移植手術」が続いていると指摘した。
この報告書は世界各国の政府に対して、臓器の出所について中国に問い合わせるよう呼びかけた。また、国際的な医療および人権団体は、中国臓器移植市場の規模と、臓器の出所について懸念を提起するよう求めた。
(翻訳編集・佐渡道世)