フィリピン金融市場が取引停止、新型ウイルス対策で世界初

[シンガポール 17日 ロイター] – フィリピン証券取引所は17日、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、トレーダーや従業員の安全確保のため、取引を無期限で停止した。外為市場と債券市場も取引停止となった。

ドゥテルテ大統領が新型ウイルスの流行抑制に向け、大規模な隔離政策を打ち出したことを受けた対応となる。

金融市場が全面的に休場となるのは、新型ウイルス対策としては世界で初めて。外為市場の取引は18日に再開される。

アナリストらは他の株式市場も、この動きに追随する可能性があるとの見方を示している。

キャピタル・エコノミクスは17日付のリサーチノートで「これまでにないペースで株価が急落していることを踏まえると、状況が好転しなければ、近く複数の株式市場が閉鎖される可能性がある」と指摘した。

アドマクロの調査責任者、パトリック・ペレットグリーン氏も、フィリピンの措置が取られる前である週末に公表したリサーチノートで、同様の可能性に言及していた。

同氏は「われわれは、これまでにもそれを目にしてきた。また起きると思う」とし、「各国政府は現在、追加のストレスや障害を望んでいない」と語った。

ただ、キャピタル・エコノミクスは、そのような措置には投資家心理を改善させる効果はないとし、他の市場も取引を停止するのであれば、フィリピンと同様に健康上の理由になるとの見方を示した。

同社は「まれなケースで過去に米国で株式市場が閉鎖されたことがあるが、信頼感を回復するためではなく、通常は同時多発攻撃後など現実的な理由に限られてきた」と指摘。「投資家は早急にキャッシュが必要なら、ほかに売ることのできるものを何でも売ろうとする可能性がある」とし、取引停止が信頼回復の手段として機能しない可能性に言及した。

16日のマニラ株式市場の主要株価指数<.PSI>は8%急落した。3月に入ってからの下落率は20%に達し、すでに2008年10月以来最大の下げとなっている。

フィリピン証券取引所は16日の発表文書で「新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえ、従業員とトレーダーの安全を確保するため、今後通知するまで証券取引所の取引を停止する。清算・決済業務も行われない」とした。

株式市場を取引停止とすることが市場センチメントを支えるか否かについて、意見は分かれている。

DBP‐ダイワ・キャピタル・マーケッツ(マニラ)のアナリストは、取引停止となったことで、投資家に売りの判断が正当化されるかどうか検討する時間を与えると指摘。

一方、取引が再開された際のボラティリティを増幅させ、政府が債券市場で資金調達することが困難になる可能性がある、との声もあった。

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