国連事務総長、コロナ口実にした抑圧リスクに警鐘

[ニューヨーク 23日 ロイター] – 国連のグテレス事務総長は23日、新型コロナウイルス流行を口実として関係のない抑圧的な措置を一部の国が採用する可能性があるとして、今回のパンデミック(世界的な大流行)が人権への危機につながるリスクに警鐘を鳴らした。

事務総長は人権に関連する国連報告書を公表。その上で、ウイルスは差別しないが、その影響は差別をすると付け加えた。

事務総長は「われわれは特定のコミュニティーに対する不均衡な影響、ヘイトスピーチの増加、社会的弱者を標的とすること、高圧的な治安対応リスクが衛生対応を損なっているのを目にしている」と述べた。

報告書は移民や難民、国内避難民が特に脆弱だと指摘。131カ国以上が国境を閉鎖しており、亡命希望者に対して適用除外を認めているのは30カ国にとどまるとした。

事務総長は「一部の国におけるエスノナショナリズム、ポピュリズム(大衆迎合主義)、権威主義の高まりや人権への反対を背景に、今回の危機はパンデミックと関係のない目的で抑圧的な措置を採用するための口実となりかねない」と指摘。「これは受け入れられない」と述べた。

国連はこうした措置の具体例を挙げなかった。

事務総長は各国政府に対し、透明性と対応を向上させ、説明責任を果たすよう求めるとともに、市民の空間と報道の自由が「重要」だと強調。「脅威はウイルスであり、人々ではない」と訴えた。

関連記事
5月14日(火)、ドナルド・トランプ前大統領のニューヨーク裁判が行われているマンハッタンの裁判所の外で行われた短い記者会見で、マイク・ジョンソン下院議長(ルイジアナ州選出)は、この訴訟を「司法の茶番」と強く批判した。元訴訟弁護士で、現在共和党の最高位議員であるジョンソン氏は、この訴訟と米国の司法制度への広範な影響に憤りを表明した。彼はトランプ大統領に直接電話し、裁判に出席したいと伝えたという。
5月14日、バイデン政権はトランプ前大統領の元顧問スティーブ・バノン氏に対する実刑判決の執行を連邦判事に求めた。バノン氏は2022年に議会侮辱罪で禁固4カ月の判決を受けたが、判決を不服として控訴したため、刑は保留されていた。しかし現在、司法省は「もはや『判決を覆すか新しい裁判を命じることになりかねない法律上の実質的な問題』は存在しない」とし、バノン氏の主張をすべて退けた。
全米の大学キャンパスなどで頻発している活発なパレスチナ支援デモに、中国共産党と関連のある団体が資金提供していることが明らかになった。「2024年米大統領選に向けて不安をあおり、若者を過激化させ、米国を不安定化させることが目的」と分析している。
国際人権NGO アムネスティ・インターナショナルが最近発表した報告によると、中国や香港出身の留学生が海外で人権活動に関わった場合、その家族が中共による脅迫や報復を受ける事例があることが指摘された。このような中共の国際的な弾圧の実態が、再び世界の関心を集めている。
2020年以降、香港の自治が中国共産党によってさらに侵食されつつあるため、ワシントンは香港に対する政策を見直すよう求められている。米国のシンクタンクである「戦略国際問題研究所(CSIS)」は5月7日、「2020年以降の香港の自治権の侵食」というタイトルの報告書を公開した。同報告書は北京による香港支配の拡大を明確に描き、米国政府に対香港政策の見直しを促す40ページに及ぶ調査結果を発表した。