高市首相ベトナム訪問 フン首相との首脳会談 経済安全保障を軸に日越連携を強化

2026/05/02 更新: 2026/05/02

2026年5月2日、高市総理大臣はベトナムを訪問し、レー・ミン・フン首相と首脳会談を行った。厳しさを増す国際情勢を背景に、両首脳は「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の実現に向けた連携を確認し、日・ベトナム間の「包括的戦略的パートナーシップ」を一層強化することで一致した。今回の会談の大きな成果として、両国は経済安全保障を新たな優先分野と位置づけ、「経済安全保障分野における優先協力事項リスト」を発出した。

■ 経済安全保障:先端技術からエネルギーまで協力を深化

両首脳は、自律性と強靭性の確保に向けて、以下の分野で具体的な協力関係を構築することを確認した。

1. 半導体・科学技術・宇宙

日本は「日ASEAN科学技術・イノベーション協働連携事業(NEXUS)」などを通じて、半導体分野での共同研究を支援する。また、日越大学に新設された半導体チップ技術学部の開始を歓迎し、人材育成を後押しする。宇宙分野では、宇宙航空研究開発機構(JAXA)とベトナム国家宇宙センター(VNSC)による「衛星データ交換に関する協定」を推進し、地球観測衛星「LOTUSat-1」の早期打ち上げに向けて連携を継続する。

2. AI(人工知能) 

アジアの多様な言語や文化を反映した大規模言語モデル(Large Language Model, LLM)や、産業別のAI基盤モデルの共同開発に向けて、日本が計算資源やノウハウを提供する用意があることを表明した。また、政府開発援助(ODA)や産官学連携を通じて、AI分野の人材育成を強力に支援する方針である。

3. エネルギー・重要鉱物

レアアースを含む重要鉱物のサプライチェーン強靭化に向けた協力を推進する。また、日本の提唱する「パワー・アジア(アジア・エネルギー・資源供給力強靱化パートナーシップ)」の枠組みの下、第一弾の案件として、日本貿易保険(NEXI)などを通じてニソン製油所の原油調達を支援する方向で一致した。さらに、2040年以降の原子力分野における協力の可能性についても協議を進める。

4. 農業・食料安全保障

メコンデルタ地方における「高品質・低排出米100万ヘクタールプログラム」を民間企業とともに推進し、世界の食料安全保障に貢献する。また、身近なところでは、ベトナム産ポメロと日本産ブドウの相互市場開放に向けた調整を加速させる。

■ 安全保障と地域情勢への対応

安全保障分野では、昨年初めて開催された次官級「2+2」や艦船の相互寄港などの進展を歓迎し、海上法執行能力の強化支援を具体化させることで一致した。また、中東情勢や南シナ海情勢、さらには核・ミサイルや拉致問題を含む北朝鮮への対応についても、両国で緊密に連携していくことを確認した。

■ 経済環境の整備と日本コンテンツ産業の保護

高市首相からは、日本企業が直面する課題の解決に向けた投資・経済協力の環境整備を求めた。さらに、両国の健全なコンテンツ産業の発展のため、ベトナムに拠点を置く海賊版マンガサイト運営者の検挙など、実効的な海賊版対策の推進を強く求めた点も注目される。

今回の首脳会談を通じ、日本とベトナムは従来の経済協力にとどまらず、次世代技術や経済安全保障といった戦略的領域へと関係を大幅に深化させた。2027年にアジア太平洋経済協力(APEC)議長国を務めるベトナムとの連携は、多国間協力の観点からも極めて重要な意味を持つだろう。

大紀元日本の速報記者。東京を拠点に活動。主に社会面を担当。その他、政治・経済等幅広く執筆。
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