海外渡航移植に警鐘 国内医療の自立に向けiPS細胞の可能性を=参院厚生労働委員会

2026/06/16 更新: 2026/06/16

参議院厚生労働委員会で9日、山田宏議員(自由民主党)は、中国における不透明な臓器移植の実態と、日本の法整備の遅れについて厳しく指摘した。倫理的問題をはらむ渡航移植に代わる方策として、iPS細胞を用いた再生医療の推進と、国内法の見直しも求めた。

質疑ではまず、中国で2000年前後から臓器移植が急増している点が取り上げられた。1999年から2006年までの7年間で、肝移植だけでも1万4085件に達したとし、適合する臓器が早ければ2週間、遅くとも1カ月以内に用意される「オンデマンド」の体制ができていると指摘した。

その背景として、法輪功学習者やウイグル人などの、罪がないまま拘束される「良心の囚人」が、定期的な健康診断や血液検査を受けさせられ、適合すれば生きたまま眼球や腎臓などの臓器を強制的に摘出されているとの国際社会の報告を挙げた。山田議員はこの問題について「極めて由々しき問題だ」と強く批判した。

また、厚生労働省の調査で、海外で臓器移植を受けた日本の外来患者543人のうち、約3割にあたる175人が中国で移植を受けていたことにも言及。こうした移植について「誰かを殺して自分が移植を受ける、いわば殺人の加担である」と糾弾した。

さらに、出所不明の不透明な海外移植であっても、帰国後の免疫抑制剤の処方などのアフターケアに日本の公的医療保険が実質的に適用されている現状を問題視した。

臓器移植を行うと、体内の免疫システムが移植された臓器を「異物」とみなして攻撃する拒絶反応が起こる。免疫抑制剤は、この免疫の働きを適度に抑え、移植臓器が体内で正常に機能し続けるために不可欠な役割を果たす。

山田議員は「趣旨不明の臓器売買や国家犯罪に日本の公的資金が間接的に加担しているのではないか」と懸念を示した。

台湾や欧州の一部の国々では、不透明な渡航移植に関与・斡旋した医療関係者に対し、医師免許の取り消しや刑事罰を科す法整備が完了しているという。台湾では、帰国後の申告・登録も法的に義務付けられている。

これに対し、山田議員は日本は不透明な斡旋行為に対する規制が極めて緩いと世界から批判されているとして、海外移植の申告義務化や、出所が不透明な国への渡航移植を斡旋・加担した者への厳罰化に向け、厚生労働省として法整備を検討すべきだと求めた。

一方、自国での移植医療完結を推奨する「イスタンブール宣言」の理念を実現するため、iPS細胞を用いた再生医療の重要性も強調した。

山田議員は日本の技術により、iPS細胞は年間数千人規模での量産と大幅なコスト削減が可能となったとし、創薬や予防医療を含めた「医療の半導体」として、世界で国家間競争が始まっていると指摘した。

しかし、iPS細胞の製造に不可欠な健康なドナーの血液採取について、現行の「血液法」では輸血や再生医療等製品や研究用具の製造など、極めて限定的な目的しか認められていない。このため、iPS細胞の製造・保管を目的とした採血は許可されていないという。

その結果、日本のバイオ産業は高い費用を払って米国などから血液細胞を輸入しているのが現状だ。山田議員はiPS細胞の産業競争力を確保するためには、安全性を担保した上で、血液法の適用除外や新法制定などを含む法制度の見直しが必要だと訴えた。

山田議員はまた、厚労省に対し、海外での渡航移植について実態調査をし報告すること、また少なくとも海外での移植手術を受けた者の申請、報告する義務を実現する体制を整備することを求めた。

エポックタイムズの記者。東京を拠点に活動。政治、経済、社会を担当。他メディアが報道しない重要な情報を伝えます
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