日本政府は今夏、グリーンランドでレアアースなど重要鉱物の調査を開始する。中国が生産の7割以上を握る中、供給網の多様化と経済安全保障の強化が狙いだ。埋蔵量や採掘可能性、輸送・精錬体制の課題を含め、その戦略的意味を読み解く。
6月14日、日経新聞によると、日本政府は今夏、グリーンランドでレアアースなど重要鉱物の採掘可能性を評価する調査を開始する予定である。国内企業による現地投資を後押しし、供給源の多様化を図ることが目的である。あわせて、中国への依存低減に向けた取り組みの一環と位置づけられている。
電気自動車や半導体、モーター、磁石、電子機器、防衛装備などの分野では、レアアースへの依存度が高く、現代の産業や安全保障にとって重要な資源となっている。
中国は現在、世界のレアアース生産の70%以上を占めている。これまで輸出規制などを通じて供給に影響を及ぼしてきた経緯があり、各国で警戒感が高まっている。欧米やインド太平洋地域では、供給網の見直しが進められており、中国への依存低減や供給途絶への備えが課題となっている。
2025年11月には、日本の官民合同の調査団がグリーンランドの鉱山を視察し、厳しい寒冷環境でも採掘は可能とする見解をまとめた。これを受け、日本政府は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の地質学者を現地に派遣し、詳しい調査を行う予定である。
調査団は、首都ヌークで自治政府の関係者と会談するほか、採掘予定地の視察やコスト面の検証も行う見通しである。
グリーンランド資源の潜在力と埋蔵量
関係者によると、グリーンランドの鉱床には、電気自動車用モーターに使われるジスプロシウムや、電池材料の黒鉛のほか、半導体に用いられるタンタルやニオブなども含まれている可能性がある。
アメリカ地質調査所の推計では、グリーンランドにはおよそ150万トンのレアアースが埋蔵されており、既知の埋蔵量としては世界で8番目の規模とされている。
アメリカのトランプ大統領は、これまでグリーンランドへの関心を繰り返し示している。背景には、ミサイル防衛構想「ゴールデン・ドーム」の整備を通じて、ロシアや中国のミサイルへの対応を強化する狙いがあるとみられている。また、現地資源の開発を通じて供給リスクの低減を図る意図もあるとされる。
現時点で、グリーンランドにおけるレアアースの採掘は本格化していない。ただ、温暖化の影響による氷の融解が進めば、将来的に開発が進む可能性がある。欧米企業の間では参入への関心が高まっており、日本企業が連携して関与する可能性も指摘されている。
一方、採掘した資源を日本へ輸送する体制の構築は課題である。政府は、関係国と連携し、採掘から精錬までを含むサプライチェーンの整備を検討しており、欧州での精錬施設の活用も視野に入れている。
グリーンランド政府は、資源開発に対して比較的開放的な姿勢を示している。イェンス=フレデリック・ニールセン首相は2025年11月、日本経済新聞のインタビューで、日本やEU、アメリカに対し、共同での資源開発への参加を呼びかけた。
また、資源分野での特定国への依存を減らすため、各国がグリーンランドとの協力を進める必要があるとの認識を示している。
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