日・マレーシア首脳会談 中東情勢緊迫で高まるマラッカ海峡の重要性と両国の連携強化

2026/06/10 更新: 2026/06/10

高市早苗首相は10日、実務訪問賓客として訪日中のアンワル・イブラヒム・マレーシア首相と首脳会談を行い、共同声明を発出した。会談では、「包括的・戦略的パートナーシップ」の下で幅広い分野の進展を確認し、中東情勢の緊迫化がアジアのシーレーンに及ぼす影響を踏まえ、安全保障やエネルギー分野での連携強化を打ち出した。

中東では現在、米国とイランの間で武力攻撃を伴う深刻な軍事衝突が発生しており、エネルギー輸送の要衝であるホルムズ海峡の情勢が極めて緊迫している。海峡封鎖リスクの高まりは、年間約10万隻が通過するマラッカ海峡の動向にも直接的な影響を与えている。

マラッカ海峡の海上輸送が滞るリスクを回避するため、タイでは同海峡を迂回する陸上輸送路「ランドブリッジ」構想が再び注目を集めている。

さらに、マラッカ海峡においては「グレーゾーンの脅威」の増加も指摘されている。

イランからの違法な石油を積載した「影の船団」と呼ばれるタンカーが、月に約50~70隻もマレーシア領海を通過していることが報じられている。

こうした情勢を背景に、高市首相とアンワル首相はイラン情勢について意見交換し、ホルムズ海峡における自由で安全な航行の確保が重要であることを確認した。中東から日本へとつながる重要なシーレーンを共有する両国として、海洋安全保障分野での連携を高めることで一致。具体的には、海上自衛隊とマレーシア海軍による共同訓練や、政府安全保障能力強化支援(OSA)を通じた能力強化支援を継続することで合意した。さらに、日本の海上保安庁とマレーシア海上法令執行庁の間で協力覚書が署名され、海上法執行分野での協力も一層促進されることとなった。

エネルギーの安定供給確保も重要な議題となった。ホルムズ海峡のリスクが高まる中、高市首相は、信頼するパートナーであるマレーシアに対し、LNG(液化天然ガス)や医療用手袋などの石油関連製品や肥料原料について、継続的な安定供給を要請した。これに対し、アンワル首相は、日本のJERAとマレーシアの国営石油会社ペトロナスの間におけるLNG購入の新規契約成立に触れつつ、最大限のコミットメントを表明した。

両首脳はまた、「パワー・アジア」の下でエネルギーや重要物資のサプライチェーン強靱化を目指すことを確認した。あわせて、高市首相からアジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)の枠組みを活用し、脱炭素分野でも具体的な取り組みが進むことの重要性が指摘された。両首脳は、エネルギー安全保障およびエネルギー移行に関する協力文書への署名を歓迎した。

会談では、中東情勢に加え、東シナ海および南シナ海の情勢に対する懸念も共有した。ミャンマー情勢や北朝鮮の核・ミサイル・拉致問題への対応についても、緊密に連携していくことを確認した。

高市首相は両国の関係について自身のXで「来年は、日本とマレーシアの外交関係樹立70周年です。 記念すべき節目に向け、これまで育まれてきた両国の絆を一層強固なものにしていきます」と述べている。

エポックタイムズの記者。東京を拠点に活動。政治、経済、社会を担当。他メディアが報道しない重要な情報を伝えます
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