<中共ウイルス>中共の報道の自由への抑圧、全世界を危険に晒す=人権専門家
中共ウイルス(新型コロナウイルス)の発生以来、中国政府は報道と表現の自由を規制している。人権問題専門家らは、5月3日「世界報道自由デー」に合わせて、中国の情報の自由について考察を示した。専門家は、中国が経済力を利用して、報道と表現の自由の定義を書き換えようとしており、国際社会にとって強い懸念になっていると指摘している。
ウイルス肺炎の流行の最中、中国共産党政権は国内の内部告発者を弾圧し、外国人ジャーナリストを追放し、国内の市民ジャーナリストを投獄するという強硬な手段を用いてきた。さらに、中国はこのウイルスが「人から人へ感染する」という情報を昨年12月から把握していたにもかかわらず、世界保健機関(WHO)や諸外国と共有せず、隠ぺいし、中共ウイルスの世界的大流行を助長した。これにより、5月1日時点で世界で300万人以上が感染し、20万人超の命が失われ、各国の経済や雇用が悪化し、生活に支障を来した。
国際人権組織ヒューマン・ライツ・ウォッチの中国研究者である王亜秋(Yaqiu Wang)氏は、「中国政府の言論の自由への規制は、世界的に広がる危機になると多くの人が認識した」と述べた。
国境なき記者団の東アジア総局長セドリック・アルビアーニ(Cedric Alviani)氏は、王亜秋氏と同様の見解を示し、中国の報道と表現の自由に対する弾圧はもはや中国国内だけの問題ではないと述べた。
アルビアーニ氏はグローバル化した世界の中で「権威主義国あるいは民主主義国でも、ニュースや言論の検閲の問題は世界的な問題となり、国際社会が取り組むべき課題だ」とした。
国境なき記者団が今年4月に発表した2020年の「世界報道自由度ランキング」によると、中国は評価対象180カ国中177位だった。
中共ウイルスが広まるにつれ、米国の主流メディアのジャーナリストも中国政府の抑圧により、何人かは国外追放され、報道の自由が侵害された。米ニューヨーク・タイムズ、ウォール・ストリート・ジャーナル、ワシントン・ポストの主要3紙の米国人記者は最近、中国当局に取材許可証を没収された。ボイス・オブ・アメリカ(VOA)やラジオ・フリー・アジア(RFA)の米政府系メディアの取材協力者も、中国当局により追放された。在籍している海外メディア記者の取材許可期間も1年から半年に、最近では3カ月にまで更に短縮された。
VOAの北京特派員・葉兵氏は、近年の中国取材について語った。
「中国で数年間働いたが、報道の自由度が狭まっているのを感じた。外国人ジャーナリストや取材協力者に対する尾行、嫌がらせ、拘留、暴行、取材機材の破損、録音・録画の強制削除があった。私たちは現地取材で何度も経験した。武漢でウイルス流行が発生して以来、今まで自由に立ち入ることができた北京の住宅地でも、尋問や検閲があった。取材の難しさと(当局の)妨害に伴う危険性が増した」
王亜秋氏によると、中国には真に独立したメディアはなく、すべての中国メディアが当局の検閲を受けている。個人が自主的に行う「セルフメディア」に対して、この数年、取り締まりが非常に厳しくなったという。外国メディアの特派員やジャーナリストの報道は中国の現状を知る貴重なツールとなっている。
人権専門家は、中共政権による、経済力を利用した海外メディアの報道や表現の自由の妨害は、他の権威主義国よりも一層危険だと考えている。
アルビアーニ氏は「世界メディアの多くは、経営難に直面しているため、一部は中国からの投資を受け入れている。中国当局の最終的な目標は、中国に関するすべての話題を操作することだけでなく、ニュースを書き換えることにもある」と分析する。
欧州連合(EU)が最近、中国のニセ情報に関する報告書を発表したところ、中国は「批判するなら、今後、中国でのビジネス展開はできなくなるだろう」と迫った。EUはその後、報告内容を修正し、批判のトーンを下げた。
ヒューマン・ライツ・ウォッチは、世界が新型コロナウイルス感染症の流行から得た教訓は、報道の自由と表現の自由が失われれば、人命、暮らし、経済が失われるということだと述べた。
5月1日、米国の中国問題に関する連邦議会・行政府委員会(CECC)の議長と共同議長であるジェームズ・マグガバン下院議員とマルコ・ルビオ上院議員は、トランプ米大統領に書簡を送り、中国の報道の自由と言論の自由に「厳しさが増している」ことに注意を払うよう要請した。また、不当に投獄されたジャーナリスト、ブロガー、言論の自由擁護者が釈放されることを支持するよう求めた。
(翻訳編集・佐渡道世)